つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーションのこと

フレデリック・ワイズマン『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

公開から一ヶ月経ってしまったこともあり快適な空間で鑑賞することができた。ワイズマンの新作は『ナショナル・ギャラリー英国の至宝』(2014)ぶりだったろうか、最近イメフォとアテネでやっていた特集上映には時間が合わなくて『動物園』(1993)しか見れ…

『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』1回目

数を数えるとき、1の次は2が一般的だろう。そして2の次は3であるし、3の次は4が待っている。1階の階段を上がると2階につくし、校庭を2回周れば2周目という。野球の試合を見ていると1回表、1回裏、2回表、3回裏、といったように続いていく。そのように私たち…

ラリー・クラーク『KIDS/キッズ』(1995)

若い男女がキスをしている。おおよそ真実を口にしていなさそうな若い男が彼女を口説く。 「何を考えているかわかるかい?」 「セックスでしょ?」 君のことばかり考えている。セックスは最高さ。妊娠なんてしない大丈夫さ。と嘘八百を口にしながらついに彼女…

「山田尚子」論に向けて(2)――古典から見る映画の振動について

前回「山田尚子」論に向けて思考の見取り図のようなものを書いてみたが、他にも書きたいことが出てきたので、(2)としてみた。続きというか、もっと断片的なことになるかもしれない。前回と同じくこの文章がそのまま本論につながっていくかわからないが、…

『寝ても覚めても』と『きみの鳥はうたえる』

彼女は二度寝る。 『寝ても覚めても』唐田えりかは上品なお嬢様風の空気を身をまといながら、ちょっと外れた人物を演じている。ふたりの東出はもちろん不気味に描いているのだが、どうも唐田えりかも十分怪物に見えてくる。濱口竜介は期間限定で配信されてい…

「山田尚子」論に向けて――アニメーションにおける作家性について

アニクリ9.5の『リズと青い鳥』号を読みながら山田尚子について考える。一応、山田尚子論なるものは日々考えているのだけど、ここに書くことはとりあえずの素案のようなものになる。(といいながらまったく違うものになる可能性もあるし、そもそも書けない可…

セバスチャン・ローデンバック『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』(2016)

高校か大学生の頃だったろうか。それまで「グリム童話」といえばディズニー長編アニメーションの『シンデレラ』や『白雪姫』などの作品くらいでしか知見がなかったのが、何が始まりだったか「本当は怖いグリム童話」の流行で『シンデレラ』の姉たちはガラス…

上田慎一郎『カメラを止めるな!』

先日より拡大公開されたことで何とか『カメラを止めるな!』(以下『カメ止』と略す)を見に行けた。TOHOシネマズ日比谷の大きなスクリーンだったが、それでも満席になっていたので配給会社はウハウハだろうな、と思いながら鑑賞した。確かに人も入っていた…

ハーモニー・コリン『スプリング・ブレイカーズ』(2012)

公開時ぶりに鑑賞。いわゆる、おっぱい、酒、ドラッグ、ヴァイオレンスなんかで語られる映画だけれども、例えば『ピラニア3D』のように表面上おっぱいを映しているっていうよりも、職業柄そういった行動をとっていると言ったほうが正しいか。本作で度々いわ…

リカルド・フレーダー『ヒッチコック博士の恐ろしい秘密』(1964)

中原昌也の白紙委任状にて『悪魔の夜』と『ヒッチコック博士の恐ろしい秘密』を見た。夏休みだというのに暑いので新作映画も名画座通いも避けていたのだけど、まあ夜から始まるなら多少涼しいだろうって。ジャック・ターナーの『悪魔の夜』は、超常現象を科…

2000年以降の音楽ベスト100 (2018.8.12時点)

ツイッターで2000年以降のベストアルバム25を出している人がいて、ちょっと気になったので自分もやってみることに。25枚には絞れなくて、結局100枚選びました。これでも1年につき10枚も選べないという。音楽リストってのは映画とは違い趣向が出すぎてジャン…

『アニクリvol.9.5 リズと青い鳥 特集号』への寄稿について

8月12日(日)夏コミ3日目(東”ナ”35a)より頒布されます『アニクリvol.9.5 リズと青い鳥 特集号』へ寄稿させて頂いたので告知します。アニメクリティークさんへは『vol.0.6 傷物語』『vol.8.0 終わりを「旅」する少女』に続いて3回目となりました。 nag-nay…

吉田喜重『秋津温泉』(1962)

戦時中、彼は死に場所を求めた。しかし、そこで彼は生きることを見出してしまった… 北千住のブルースタジオで35㎜でかかるということですかさず『秋津温泉』を見てきた。劇伴が大げさだったっけな?と思いながらも、久々に見た『秋津温泉』は格別な体験とな…

フアン・アントニオ・バヨナ『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)

「さようなら、フィクション…」 絶滅から数億年の年月が経過した現代に蘇った恐竜。火山噴火~島からの脱出、ブラキオサウルスの最期は彼らの歴史をまたなぞるのか?と思わせるような見事な切返しショットで、眼下に広がる海の物理的距離をなくすが、またそ…

tampen.jp主催『アニメーションの〈いま〉を知る−−「キャラクター」という宇宙』2日目イベント レポ

先日はtampen.jp主催の『アニメーションの〈いま〉を知る−−「キャラクター」という宇宙』に行ってきた。こちらのイベントは9種類の短編アニメーションを上映し、登壇者2名によるトークショーといった形式をとっており、今回はタイトル通り「キャラクター」に…

ホン・サンス『正しい日 間違えた日』(2015)

「これは、、、」と思う映画と出会って、外に出ると雪が降っている。「ギシギシ」と積もった雪の上を歩きながらその映画のことを反芻する。人生の中で最良の時間とまでは言わないが、気持ちが高ぶるに違いない。これは『正しい日 間違えた日』のラストシーン…

振動するアニメーション――水江未来『個展 DREAMLAND―水江未来のアニメーションのミライ―』に行ってきた

水江未来の個展に行ってきた。発表されてから絶対に行きたい!と思っていた展示だったのであるが、最終日(7/14)に駆け込みになってしまった。水江未来というと細胞アニメーションというと日本、いや世界を見ても珍しいアニメーションだ。また、CG全盛期の…