つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーションのこと

2024年新作映画ベスト10 +オマケ旧作とか

ええー気づけば12月も最終日ですね。今年は業務が鬼のように忙しくてあんまり新作は見れていません。でも、意地でもやるぞという自分なりの義務でいつも通りやります。でも、旧作含めると220本くらい見ていたんですよね。肌感は150本くらいかと思っていたんですが、意外と伸びましたね。来年も同じくらいなんだろうなー。ということでベストです。

  1. ホールドオーバーズ
  2. 陪審員2番
  3. ビートルジュース ビートルジュース
  4. トラップ
  5. 至福のレストラン 三つ星トロワグロ
  6. リンダはチキンが食べたい!
  7. 化け猫あんずちゃん
  8. フェラーリ
  9. 夜明けのすべて
  10. あのこはだぁれ

 

01.ホールドオーバーズアレクサンダー・ペイン

物語をよどみなく始まりから終わりまで描いているので、もう少し省略がほしいなと思いつつ、ドミニク・セッサがパーティーでエロい女の子とどこまで進もうと目論んでいたとか、スノードームのこととか、手を失った男をどうやってキレさせたのかとか。想像を働かせる部分も残しており、その丁寧さに惹かれた。さいごに抱擁ではなく、あくまで固い握手で終わること。彼らの最大のコミュニケーション。痺れました。

02.陪審員2番 (クリント・イーストウッド

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まるで深夜の安ドラマじゃん! 映画館じゃなくてこれこそ家で見るべき映画なのではないか? しかもU-NEXT課金なしの公開ということが、プライド持って仕事しているんだなと思わざるを得ない。まるで再現ドラマのように、証言者や主人公、被告人の証言を再現して見せますが、人によって描かれるドラマの印象がまるで違う。結局のところ誰が彼女を殺してしまったのか、決定的な瞬間というものは描かれない。描かれていないからどうとでも描けてしまう。なぜにかやたらとおもしろい。ラストの切り返し覇気があって好きだった。

 

03.ビートルジュース ビートルジュースティム・バートン

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オープニングから続編待ってました!感が最高。人の死をとりあつかっているのに、ひたすら茶番が繰り広げられる。親父が死ぬシーン、そんなあっさりアニメーションで済ませます?(決してアニメーションは手軽ではないけど) 現実的な問題もここまで軽やかに面白おかしく描けるバートン印。この倫理観のなさが映画の理論だよな〜と感じられる。あそこまで引っ張ったモニカ・ベルッチのあっさり退出。バートン豪快なホームランでした。最高。

 

04.トラップ (M・ナイト・シャマラン

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ほぼギャグ映画! よくできたミステリー/スリラーだったかというと、まるでそんなことないのがまた面白い。逃げることに必死なジョシュ・ハートネットの姿がおもしろいし、娘の友達の母親とか、癖あるキャラクターもシャマラン映画を感じる。

 

05.至福のレストラン 三つ星トロワグロ (フレデリック・ワイズマン

高級レストランじゃおもしろいやつ出てこないだろう〜と思っていたは私は浅はかでした。2010年代以降のワイズマンのなかでも編集がキレキレじゃないだろうか。空ショットからロバ(それか羊だったか?)のカットに移ったときにピンポン球が跳ねる音が重ねられていて突然ミニマルミュージックかかったのかと思って笑った。そのあと実際に卓球のシーンに移行するんだけど、音響と画面の連鎖がいつみても素晴らしい。終盤調理中にシェフがこんなトング使えねえ!!って後ろにぶん投げるんだけど、それを後ろの人がキャッチしていてブチ上がった。こういう瞬間のために私は映画みているので。

 

06.リンダはチキンが食べたい! (キアラ・マルタ/セバスチャン・ローデンバック

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ローデンバックの前作『大人のためのグリム童話』と同じ感触のアニメーション。セル(キャラクター)が背景に対してベタ塗りで、動きとともに輪郭線が震えている。これが今回の活劇に彩りを与えていてよかった。一番よかったのはニワトリが橋から飛ぶところですね。映画やるなら橋があるなら飛び降りるべきなんですよ。

 

07.化け猫あんずちゃん (久野遙子/山下敦弘

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ロトスコによる異物感とあんずちゃんのキャラクターそれに録音(声)によって、どこか違和感のある変な映画に仕上がっていたのがよかった。強いていうなら最後釣りのシーンで終わって欲しかったなー。でも、おもしろかったです。

 

08.フェラーリマイケル・マン

事故でドライバーがふっとぶ冒頭の映像、あんまりにも面白すぎるし、人体バラバラ事故の映画見ている感。カーカスに主題歌作らせれば最高だったはず。

 

09.夜明けのすべて (三宅唱

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散々文句をいった気がするし、『ケイコ』よりよくなかったと思うのだけど、それでも三宅唱ってどこからどうみても映画なんだよなーという確かさがあって選びました。しかしロケ力すごいよね、大好きなリバーサイド夜景がきてどうしようもないよってなったり。あとは、松村北斗と渋川清彦、そして息子がいる3人のシーンなのになぜか子供がいないかのように繰り広げられる2人の世界。あ、ここでイマジナリーライン超えましたね、と切り返しに唸った。ちょろいな俺。

 

10.あのコはだぁれ? (清水崇

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正直な話、出来はまったくよくないし、107分なのに間延びしているし、前作好評だったのにこうなるか? と思わせる映画だったことは事実(ちなみに私は前作の方が微妙だった)。ただ、清水崇の映画人生において編集/再演はなくてならないものであるし、映画・物語をズタズタ・ツギハギにしてキモさ・笑に変えることで素材を再利用すること。死んだと思っていたやつが生きている、物語もめちゃくちゃだし、論理もグチャドロになっているけどこれぞ夏休みムービー。なぜか、記憶に残ったので選びました。

 

オマケで旧作初見ベスト↓

  1. お葬式に乾杯! (ニール・ラビュート、2010)
  2. アポロ10号 1/2 (リチャード・リンクレイター、2022)
  3. シークレット・ディフェンス (ジャック・リヴェット、1998)
  4. ブレスレス (ジム・マクブライド、1983)
  5. デンティスト (ブライアン・ユズナ、1996)
  6. U.M.A レイク・プラシット (スティーヴ・マイナー、1999)
  7. シェイクダウン (ブライアン・カットキン、2002)
  8. 縮みゆく人間 (ジャック・アーノルド、1957)
  9. コータローまかりとおる!鈴木則文1984
  10. 無力の王 (石黒健治、1981)

そういえば、なぜか夏だけ活動している心ビ研では、2本記事をリリースすることができました〜。ということで、みなさんよいお年を〜。来年も霊力高めましょう。

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brutus.jp

2024年アニメベスト10

気がつけば2024年も年の瀬です。まるでブログも書かなくなってしまいましたが、意地でもアニメベストは出すぞという意気込みだけでやってます。といっても、3Qは忙しくてろくにアニメ見れていませんでした。ベストといっても、ささやかにやってみたいと思います。では、また来年〜。

 

『変人のサラダボウル』第12話

一つ選ぶとすれば今年のベストアニメじゃないでしょうか。1クールという短い時間の中でも全てのキャラクターが見事に生き生きと画面で輝いている。ふつうに全話好きなのですが、ラストの逮捕オチにグッときたので最終話で。

 

『義妹生活』第6話「酢豚 と 雨」

とても緊張感のある素晴らしい作品でした。カット及びカットのつなぎに痺れていましたし、特に第6話の雨のエピソード。浅村がバイトから帰ってきてからドアをフレームに見立てたフレーム内フレームの部屋から部屋へのカメラ。一瞬、アニメーションなのに動きが止まります。そこから気づいたかのようにフレームの外へ抜けていく浅村。そして、思い出したかのように風でカーテンが捲れ、雨がザーザー降りになっていることがわかる。そして、洗濯物を取り込み……の一連の運動。運動を創出するアニメは動き続けなければならない、が基本的なスタンスかと思いますが、それを逆手にとるかのようなカットにハッとさせられました。

 

ONE PIECE FAN LETTER』

ワンピ25周年作。作画すげえ〜ほんげ〜〜〜〜ってバカみたいにみてた。ワンピは連載長いからこの手の彼らたちではなく、同時に時代を生きた誰かの視点みたいなのはやりやすいですよね。

 

『ダンダダン』第9話「合体!セルポドーバーデーモンネッシー!」

監督が山代風我だしみよっかなーノリで1話をみたときにカメラワークが苦手なのと、作品の奇想天外であればヨシ!みたいなノリも苦手なスタートだったんですが、9話のアクション回さいこうでしたね。私は活劇思考の人間なのでいかに限定された空間で地の利を活かしたアクションができるか、という部分にグッとくるタイプなのでこの話数を選びました。特にタイトルまでの教室内から廊下へのカメラ、そこから廊下を使った一連の横から縦の運動が心地いい。しまいには境界線としてある教室の壁をぶち破る流れよかったですね。

 

BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』#35「DON’T CHASE A SHADOW」

花天狂骨枯松心中!

 

『小市民シリーズ』第十話「スイート・メモリー(後編)」

もともと『氷菓』もそこまでのファンではなかったですし、レイアウト、ビシ! みたいなアニメも好まないのですが、探偵しているようでぬるりと別れ話みたいな展開になる強引さにグッときました。

 

ONE PIECE』1112話「激突!シャンクスVSユースタス・キッド」

原作からブチあがっていましたが、この作画でシャンクスぶちあがる〜〜〜〜! たまんね〜〜〜

 

かつて魔法少女と悪は敵対していた。』第11回「築五十三年です」

五十嵐卓哉コンテにびびる。しかも3回も入ってくるとは。クリスマス回もよかったですが、霊障回なので私はこちらを支持しておきましょう。クリスマス回でもよかったですが、机を挟んで2人が座るカットとてもいいですよね。

 

『ちいかわ』228話「黒い流れ星・後編⑦」

ちいかわ、むちゃうマンやパジャマパーティーズの回も大好きなんですが、ちいかわのこの背中そして、そこからの「時の旅人」やられるじゃないですか。漫画のときはまさか本当にかからないよなと思っていましたが、こう実現されると太刀打ちできない。さいこ〜。

 

『終末トレインどこへいく?』第8話「バチ当たらない?」

大泉学園がアリスの世界になるというか、マジで何が起こっているかわからないレベルでよくわからんし、めちゃくちゃ早い。ギャグなのか、なんなのかも知覚できない。ずっと意味わかんなくて狂ってて最高でした。

 

ブイデンとかもいれたかったんですが、あれを見直す体力が尽きていたので選外ですが、普通にベストレベルでよかった。それと逃走中もよかったですね。

昨年のベスト↓

paranoid3333333.hatenablog.com

2023年 TV・WEBアニメベスト5選

いつも通り順不同です! 今年は5本しか選べませんでした! よいお年を!(越してるけど!) ※前半でカロリー使い切りました。

 

『お兄ちゃんはおしまい!』 #8「まひろとはじめての女子会」

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『おにまい』には予感がある。それはまひろがいつ男に戻ってしまうか、という物語なものや、女性視点で生きてきていない無防備なJCが外を出歩いていると何者かにさらわれるのではないか、はたまた誰かに正体がバレるのではないか。それらは物語に緊張感を生む。ただ、『おにまい』は物語的な緊張感だけに頼っているわけではなく、5話のモブたちからまひろへの視線(スカートで行儀悪くあぐらをかいている/JKがまひろに向ける視線)や、6話のカフェでのワンカット(人が横切るカット,4分26秒)など、誰かしらの視線(や神視点)のカットの驚きによってそれらは担保される。この8話に至っては同級生が遊びにくるということで、まひろ含む同級生と、姉(妹)。まひろ&姉(妹)と同級生、などの様々な視点からのカット割、空間が何層も設定される。またこれによる、画面内レイヤーの豊かさ、カット単位の驚きによって、(運動の)持続される。*1 物語的にも「おもらし」を庇うまひろという成長過程を見ることができる。

「成長過程」と書いたが、JC化していることで本来の姿の彼の成長とはまた違った噛み合わなさ、が面白い。まひろであることで、彼はどんどん「女の子らしさ」(はたまた「人間らしさ」)を手に入れることで本来の自分の姿を忘れていく。この「成長」と「忘却」は同時に進んでいく。本来、成長過程において忘却していくということは普遍的なものでもある。私たちは成長する過程で、小さい頃のできごとを徐々に忘れていく。それは視聴者が本来のまひろの姿(男性)を忘れていくことと似ているようだ。しかし、薄れていった記憶のなかにも確実に出来事は積み重なっている。それらは忘れても私たちの身体に刻み込まれているのだから。運動をし続けろ……。

 

ONE PIECE』 1071話「ルフィの最高地点 到達!〝ギア5〟」

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東映は戦闘シーンをドラゴンボールとどう差別化するか? って課題ずっと抱えているような気がしていた。ワンピースでも光線系の技を繰り出すときに「ポーヒーーー」ってエネルギー弾的な音を使っているから。あまりにも戦闘描写がインフレすると、結局ドラゴンボール化してしまう。今年のワンピースはルフィvsカイドウ、ゾロvsキングでだだっ広い外での戦闘があったのですが(もちろん作画的に素晴らしいし面白いが)、目新しさってのはそこまで多くはなかった。*2 そこにきて1071話は、ヒトヒトの実を覚醒させたルフィがグニャグニャとこれまでにない動きをしてみたり、それに伴ってカイドウもカートゥーンアニメみたいに目が飛び出してみたり、戦闘にバリュエーションが増えている。1071話カロリーハンパないだろうけどブチ上がりました。ちゃんとワンピース見ていてよかった。

 

『逃走中 グレートミッション』 第28話「混乱のラビリンス 裏切りものは誰だ⁉︎」

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『逃走中』をここまで自由にアレンジするって毎回アイディアに唸らされる。だけど、あくまで「ハンターから逃げる」という目的は忘れていないのもいい。28話は仲間の中から裏切り者を炙り出す回なのですが、緊張感のあるスリリングなカットが持続していて最高なんですよねー。毎週楽しみにしていた。今年いちばん楽しく見ていたアニメかも。

 

『陰の実力者になりたくて! 1st season』 #20「魔人降臨」

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2期もよかったですが、やっぱり1期のわかりやすさみたいなところが好き。市街戦のカット割が最高なんですよね。ワンピのゾロ戦のチャンバラもよかったけど、このくらいの強さ(シャドウが手を抜いているから)での斬り合いってアニメになるとちょうどいい。カットの持続がある。特に8分50秒過ぎで相手を川に蹴り落としてから、民衆(と馬)の間でベアトリスとの斬り合いをして→画面外へ出てカットを割ってミディアムショットで斬り合いという繋ぎ。9分09秒手前で馬車が左右画面外へ中から外へ移動する(運動の持続)、カット割って(手前で人がしゃべる)奥でベアトリスとシャドウが斬り合っている。画面が停滞することなく、繋がっているという当たり前の快感! これがアクションアニメ!

 

BLEACH 千年血戦篇』 #26「BLACK」

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修多羅千手丸の卍解! 娑闥迦羅骸刺絡辻!!

 

おまけ

あと、一度見て再見していなかったりしたけどよかったのは、以下の通り。2024はもっとアニメ見たいね。

 

HIGH CARD

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

スキップとローファーツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

山田くんとLv999の恋をする

BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

呪術廻戦

 

 

*1:特に2人が皿洗いしているシーンが好きです。

*2:ただ、ゾロvsキングの室内での戦闘はよかったし、サンジvsクイーンのサンジの高速移動と蹴り連打は最高。また、ビックマムとキッド・ローのコンビネーションは最高でした。