ええー気づけば12月も最終日ですね。今年は業務が鬼のように忙しくてあんまり新作は見れていません。でも、意地でもやるぞという自分なりの義務でいつも通りやります。でも、旧作含めると220本くらい見ていたんですよね。肌感は150本くらいかと思っていたんですが、意外と伸びましたね。来年も同じくらいなんだろうなー。ということでベストです。
- ホールドオーバーズ
- 陪審員2番
- ビートルジュース ビートルジュース
- トラップ
- 至福のレストラン 三つ星トロワグロ
- リンダはチキンが食べたい!
- 化け猫あんずちゃん
- フェラーリ
- 夜明けのすべて
- あのこはだぁれ
01.ホールドオーバーズ (アレクサンダー・ペイン)
物語をよどみなく始まりから終わりまで描いているので、もう少し省略がほしいなと思いつつ、ドミニク・セッサがパーティーでエロい女の子とどこまで進もうと目論んでいたとか、スノードームのこととか、手を失った男をどうやってキレさせたのかとか。想像を働かせる部分も残しており、その丁寧さに惹かれた。さいごに抱擁ではなく、あくまで固い握手で終わること。彼らの最大のコミュニケーション。痺れました。
02.陪審員2番 (クリント・イーストウッド)
まるで深夜の安ドラマじゃん! 映画館じゃなくてこれこそ家で見るべき映画なのではないか? しかもU-NEXT課金なしの公開ということが、プライド持って仕事しているんだなと思わざるを得ない。まるで再現ドラマのように、証言者や主人公、被告人の証言を再現して見せますが、人によって描かれるドラマの印象がまるで違う。結局のところ誰が彼女を殺してしまったのか、決定的な瞬間というものは描かれない。描かれていないからどうとでも描けてしまう。なぜにかやたらとおもしろい。ラストの切り返し覇気があって好きだった。
03.ビートルジュース ビートルジュース (ティム・バートン)
オープニングから続編待ってました!感が最高。人の死をとりあつかっているのに、ひたすら茶番が繰り広げられる。親父が死ぬシーン、そんなあっさりアニメーションで済ませます?(決してアニメーションは手軽ではないけど) 現実的な問題もここまで軽やかに面白おかしく描けるバートン印。この倫理観のなさが映画の理論だよな〜と感じられる。あそこまで引っ張ったモニカ・ベルッチのあっさり退出。バートン豪快なホームランでした。最高。
04.トラップ (M・ナイト・シャマラン)
ほぼギャグ映画! よくできたミステリー/スリラーだったかというと、まるでそんなことないのがまた面白い。逃げることに必死なジョシュ・ハートネットの姿がおもしろいし、娘の友達の母親とか、癖あるキャラクターもシャマラン映画を感じる。
05.至福のレストラン 三つ星トロワグロ (フレデリック・ワイズマン)
高級レストランじゃおもしろいやつ出てこないだろう〜と思っていたは私は浅はかでした。2010年代以降のワイズマンのなかでも編集がキレキレじゃないだろうか。空ショットからロバ(それか羊だったか?)のカットに移ったときにピンポン球が跳ねる音が重ねられていて突然ミニマルミュージックかかったのかと思って笑った。そのあと実際に卓球のシーンに移行するんだけど、音響と画面の連鎖がいつみても素晴らしい。終盤調理中にシェフがこんなトング使えねえ!!って後ろにぶん投げるんだけど、それを後ろの人がキャッチしていてブチ上がった。こういう瞬間のために私は映画みているので。
06.リンダはチキンが食べたい! (キアラ・マルタ/セバスチャン・ローデンバック)
ローデンバックの前作『大人のためのグリム童話』と同じ感触のアニメーション。セル(キャラクター)が背景に対してベタ塗りで、動きとともに輪郭線が震えている。これが今回の活劇に彩りを与えていてよかった。一番よかったのはニワトリが橋から飛ぶところですね。映画やるなら橋があるなら飛び降りるべきなんですよ。
07.化け猫あんずちゃん (久野遙子/山下敦弘)
ロトスコによる異物感とあんずちゃんのキャラクターそれに録音(声)によって、どこか違和感のある変な映画に仕上がっていたのがよかった。強いていうなら最後釣りのシーンで終わって欲しかったなー。でも、おもしろかったです。
事故でドライバーがふっとぶ冒頭の映像、あんまりにも面白すぎるし、人体バラバラ事故の映画見ている感。カーカスに主題歌作らせれば最高だったはず。
09.夜明けのすべて (三宅唱)
散々文句をいった気がするし、『ケイコ』よりよくなかったと思うのだけど、それでも三宅唱ってどこからどうみても映画なんだよなーという確かさがあって選びました。しかしロケ力すごいよね、大好きなリバーサイド夜景がきてどうしようもないよってなったり。あとは、松村北斗と渋川清彦、そして息子がいる3人のシーンなのになぜか子供がいないかのように繰り広げられる2人の世界。あ、ここでイマジナリーライン超えましたね、と切り返しに唸った。ちょろいな俺。
10.あのコはだぁれ? (清水崇)
正直な話、出来はまったくよくないし、107分なのに間延びしているし、前作好評だったのにこうなるか? と思わせる映画だったことは事実(ちなみに私は前作の方が微妙だった)。ただ、清水崇の映画人生において編集/再演はなくてならないものであるし、映画・物語をズタズタ・ツギハギにしてキモさ・笑に変えることで素材を再利用すること。死んだと思っていたやつが生きている、物語もめちゃくちゃだし、論理もグチャドロになっているけどこれぞ夏休みムービー。なぜか、記憶に残ったので選びました。
オマケで旧作初見ベスト↓
- お葬式に乾杯! (ニール・ラビュート、2010)
- アポロ10号 1/2 (リチャード・リンクレイター、2022)
- シークレット・ディフェンス (ジャック・リヴェット、1998)
- ブレスレス (ジム・マクブライド、1983)
- デンティスト (ブライアン・ユズナ、1996)
- U.M.A レイク・プラシット (スティーヴ・マイナー、1999)
- シェイクダウン (ブライアン・カットキン、2002)
- 縮みゆく人間 (ジャック・アーノルド、1957)
- コータローまかりとおる! (鈴木則文、1984)
- 無力の王 (石黒健治、1981)
そういえば、なぜか夏だけ活動している心ビ研では、2本記事をリリースすることができました〜。ということで、みなさんよいお年を〜。来年も霊力高めましょう。