恒例のやつです。今年新作はおろか映画すらまともに見れなかったし、鑑賞メモすら飛んだのでわからんのですが、新旧合わせて200も見てないかも。そんこんなでここ10年くらいでいちばん映画見てないんですが、それはそれとして以下ベストです。
『ケイコ 目を澄ませて』三宅唱
高架下で佇むあの贅沢な夜のショット。交錯する電車とその光の瞬き。それはその瞬間でしかないという確かな実感。荒川河川敷(土手)でしかないショットを、「地図を見て、たぶんこのポイントが面白そうだと急遽行って、そこにキャメラを向けたらあんなことが起きたので、粘って見るものだなと思いました」と東・東京にルーツを持ったわけでもない三宅唱が語るように、それは偶然狙った通り撮られてしまう。もちろん、あの辺りに住んでいて少し土手で待っていれば何となく電車が交錯することなんてことは奇跡ではなく、よくあることと認識できるだろうが、なんとなくあたりをつけたら撮れてしまった事実がある。
耳の聴こえない岸井ゆきのという人物を考えたときに「音」が主題のように感じられるが、それよりと何かが何かと接触するときの触覚が核なるキーなのではないだろうか。岸井ゆきのがノートに筆を走らせるとき、高架下でたたずむ岸井ゆきのの顔が列車の光や警官の持つ懐中電灯によって照らされるとき。もっとも触覚というよりもっと原初的なコミュニケーションについての映画にも感じられる。それは手話は当然としても、何か(触覚的なデバイス)を通して伝えること。演出およびショットの水準の高さをあわせも最高の仕上がり。3人組撮るのでいえばめちゃくちゃうまい三宅監督だが、ここまで個に強い作品が生まれたのも嬉しいところ。
『鶏の墳丘』Xi Chen
中国のアニメーション作家Xi Chenの長編アニメーション。映画というより、ただただアニメーションでしかないし、映像体験というべき一品。詳しくはブログで書いているので貼っておきます。
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『オカルトの森へようこそ』白石晃士
白石監督完全復活というか、この手のフェイクドキュメンタリー撮らせたら、そりゃ流石に上手いよねってなる。本作ずっと運動してて最高でした。詳しくはブログで書いているので割愛します。
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『みんなのヴァカンス』ギヨーム・ブラック
素直にな気持ちで、現地点でのギヨーム・ブラックの最高傑作だと思う。『おおかみこども』に『ゴーストドッグ』とTシャツネタありーの、なかなかキャッチーなできはいつも通りだが、『7月の物語』みたいな外部だよりもせず、映画を完結させていてよかった。
『MEMORIA メモリア』アピチャッポン・ウィーラセタクン
「パンッ」っていう爆発音から、男が歩道橋でダイヴするくだり本当に大好きだった。なんかスピってるし面白かったなー。
あれから始まってあれで終わり、というまるで『ヤンヤン夏の想い出』じゃん!という突っ込みはさておいて、渋谷再開発スクラップ&ビルド爆弾選択の勇気。アクション作画もよかったし、こういったビッグバジェットものを池袋IMAXシアターでみれて大満足。
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン
箱庭っぽさがマシマシになった本作。ウェスアンダーソンというとこの精密なコントロールと、唐突にはじまる暴力との関係性で映画が作られているように感じる。偶然性は制作段階から「ゆっくり」と織り込まれていると頭で分かっていても、たぶん、それ以上に偶然性=暴力の図式に当てはまるような気もする。
『幾多の北』山村浩二
個人アニメーション作家・山村浩二の長編アニメーション。『鶏の墳丘』もそうだが、長編のていをしながら、長編の作り方をしているとは思えない。ある断片と断片がそこいらに散らばっていて、無造作にそれをかき集めている。暗喩みたいなものは見てとれるが、それが正解でなくてもいいじゃないかって気がするし、ぜんぜんわからないけど面白かった。パルンフリークな山村浩二なので、プリート・パルンみは感じたかな。
『麻希のいる世界』塩田明彦
「靴くらい脱げよ!!!」
「お前もな!!!」
このシーンで塩田明彦、絶好調すぎる!最高!モードになったのだが、さいごのピン送りさすがになくないすか。いや、面白かったけど。
以上!また来年〜。