つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーション、音楽のこと

どこか浮世絵離れしたできごととしての——『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

自身の映画記憶から引用に次ぐ引用、音楽的センス、『パルプ・フィクション』で見せた時系列操作といいDJとしてのタランティーノの総合的な一本になった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。シャロン・テートがレコードプレイヤーで音楽をか…

Letterboxdで映画オールタイムベスト100のリストを作ってみた

フォロイーさんより情報を得て、海外シネフィルの動向をウォッチングするために導入したLetterboxdというアプリで、自分だけの映画リストを作れるらしいと知り、試しに映画オールタイムベスト100を作ってみた。ただ、やってみると鈴木則文さえ網羅できていな…

ジョシュ・クーリー『トイ・ストーリー4』

水路に流されそうになるラジコン(RC)を助けに共同で助けようとするおもちゃたち。なんとか捕まえ部屋に戻るが、スタンド照明とセットにされているボー・ピープがダンボールにしまわれて別の人のもとへ渡ってしまう。助けようとするウッディであるが、ボー…

安里麻里『アンダー・ユア・ベッド』(2019)

私はこの作品に対して批評的にどう優れているだとか、映画原理主義的にどうだとか到底いえない。それでも言葉にしなければならないと思ったのは、この真摯な映画に感動してしまったからで、その痕跡を残しておきたかったからだ。 おそらく『アンダー・ユア・…

アニメクリティーク刊行会『アニクリvol.3.5 特集〈アニメにおける音楽/響け!ユーフォニアム+号〉』及び『アニクリvol.7s 特集 〈アニメにおけるバグの表象 作画崩壊/幽霊の住処〉』への寄稿について #C96 #夏コミ

夏がやってきました。ということで、夏コミ関連の告知です。いつもお世話になっている、アニメクリティーク刊行会(anime critique)の新刊に拙稿を2件掲載頂いています。 8月11日(日)31bでの発刊とのことです。 ◆『アニクリvol.3.5 特集 アニメにおける音…

フレデリック・ワイズマン『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館 Ex Libris: The New York Public Library』(2017)の構造について

3時間を超える作品であっても、毎回新作が公開されると駆けつけてしまうフレデリック・ワイズマン。長いと思っていても見れてしまうのは彼の作るリズムにあるのだろう。『ニューヨーク公共図書館』のランタイムは205分だ。決して短くない。今回は本作の構造…

『天気の子』についての覚書

『天気の子』なぜかIMAXで視聴。大きすぎるスクリーンだと視野的にカバーできない瞬間があるので、通常のスクリーンでまた見るかも。以下覚書。1行目からネタバレなので予告でも挟もう。 www.youtube.com 冒頭のモノローグといい、世界のために誰かが人柱に…

2019年上半期 新作映画ベスト10

今年はあまり見れなかったが、ギリギリ10本集まったので。もちろん長編・短編なんでもありベスト。 ひかりの歌 Wild Love 7月の物語 復讐者のメロディ テリファイド パチャママ リム・オブ・ザ・ワールド イメージの本 阿吽 ワイルドツアー カメラが捉える世…

映画雑記04

公開ひと月も経たないまま上映館が少なく、数日前の予約でなければ取れなかった『プロメア』。キャラ造形と物語は今石x中島の手癖によるところが大きく、作画監にすしお氏が入っていることからも『グレンラガン』を想起するような造形だらけ。とにかく動き回…

映画雑記03

真夜中のひと気のいない夜の路線が映される。そこに置かれたカメラはしばらくの間そのまま静止する。すると列車の暖かなヘッドライトの光が見えてくるとガタン・・・ゴトン・・・といった音とともに、ホーム(画面)手前から奥に向かって電車が到達する。実に静か…

ギヨーム・ブラック『7月の物語』

オープニング。長めに映されたショットで、階段から降りてきた少女が踊り場の壁をひたすら殴る蹴る場面を捉える。しばらく壁との攻防が続くと、階段から彼女の知り合いらしき女性が降りてきて声をかける。スタンダードの画面効果か、彼女らの位置関係にメリ…

映画雑記02

各作品ごとに1記事書くのが困難と思うようになってきた。それ以上に映画に対して何かを書くといったことがツイッターの文字数でも難しい。おそらく時間が解決することなんだろうと思いながらキーボードを叩く。ところで何かを書くならキーボードがベストだ。…

映画雑記01

先日シネスイッチ銀座にてゴダールの『イメージの本』を見てきた。今年はゴダールといいイーストウッドといい高齢映画監督たちの映画が次々に公開されている。『運び屋』は近年のイーストウッドでいちばんよかった。家の中にいるイーストウッドが車の音を聞…

楫野裕『阿吽』

映画というよりも、どこかの部室の片隅に落ちている記録フィルムのような作品だ。8ミリフィルムで撮られた黒白画面は表面上の傷や埃などが、あえてそのまま残してあるような感覚を受ける。そのざらついたイメージが、90年代後半以降の心霊ビデオなどの何か危…

ファン・アンティン『パチャママ』

遅くなったがTAAFで見た『パチャママ』を簡単に。TAAF2019長編コンペでいちばんシンプルに「映画」を目指した作品だったに違いない。村の財宝が奪われ、それを奪い返すために追いかけ、奪還、そしたら今度はまた奪われないように追ってから逃げる…といったマ…

三宅唱『ワイルドツアー』

スマホの画面からデジタルヴィデオカメラの画面、そしてPCモニター(編集)と移り変わるフォーマットの差異を見て『無言日記』や『THE COCKPIT』、そして短編映画など彼のフィルモグラフィーが透けて見えるようだった。いまどきのスマホ(インスタ、ティック…

不純なるアニメーションの覚書——『アニメ制作者たちの方法』を読んで

昨年末に映画年間ベストを振り返ったとき、マイナーなアニメーション市場が撹拌されて目立った年だったと書いた。 paranoid3333333.hatenablog.com どうにもそれには2016年の『君の名は。』、『聲の形』、『この世界の片隅に』のヒットに引っ張られる形で新…

音楽雑記01

音楽レヴューっぽく音楽のことについて書くより、誰かに話すように、または日記のように書くほうが自分に合っているような感じがしているのでってことで。 さて、ご存知FRIENDSHIPの2ndフル『Undercurrent』これが彼らの新境地というか、ベスト作ではないだ…

2018年に取りこぼした音楽というか殴り書きした雑記の一部

ブログをひと月書かないとなかなか文章が思い浮かばないもので、そのためのリハビリというか近況をふらっと……といっても近況なんて何もないので2018年に取りこぼして2019年になって聴いた音楽さらっと書きます。 open.spotify.com 早見沙織が歌がうまいこと…

杉田協士『ひかりの歌』

のれんをしまう店員。ほんのりと光が透過されるすりガラスのドア。まかないを食べ、一人の女性が店を去るのであろうか、多すぎない幾つかの言葉が交わされる。髪の長い女性と短い女性。髪の短い女性は高校の臨時教師として美術に関わっているようだ。髪の長…

2018年 新作映画ベスト10

毎年恒例の新作映画ベスト。以下ベストと雑感を。 www.youtube.com リズと青い鳥 ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション きみの鳥はうたえる パディントン2 それから 大人のためのグリム童話 手をなくした少女 ニューヨーク、ジャクソンハイ…

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

今年も新米さんのこの企画参加致します。順不同です。 shinmai.seesaa.net ルール・2018年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。・1作品につき上限1話。・順位は付けない。 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第5話「人を結ぶ…

2018年 音楽ベスト10 + LIVEベスト10

今年からSpotifyの有料会員になり、これでフィジカル購入量が減り節約バンザイ! と思っていたのだが、結局のところSpotifyで聴いてよかったらフィジカルを購入してしまうルーティンに入り、まったく節約ができなかった2018年でした。 今年はソドム(日本)…

「アニクリvol.9.0 監督 山田尚子総特集号」への寄稿及び「アニクリvol.6.5 βペンギン・ハイウェイ/文字と映像(序)」への再掲について(冬コミC95)

今年も早いもので師走です。告知ですが「アニクリvol.9.0 監督 山田尚子総特集号」へ『天使にふれるために——山田尚子論』を寄稿しました。 nag-nay.hatenablog.com 山田尚子監督作以外にも参加作品を参照しながら、主題を抽出して書いた作家論になっています…

映画映画ベストテン

毎年恒例となっているワッシュさんのところのベストテン企画へ参加します。今年のテーマは「映画映画ベストテン」とのこと。 d.hatena.ne.jp 教授とわたし、そして映画(ホン・サンス、2010) カミュなんて知らない(柳町光男、2006) Notre nazi/Unser Nazi…

「アニクリvol.6.6 続・新房昭之ノ西尾維新『続・終物語』」への寄稿について(11/25,文フリ)

最近は朝が寒くてなかなか起きれない日々を過ごしておりますが告知です。「アニクリvol.6.6 続・新房昭之ノ西尾維新『続・終物語』」へ『続・終物語』に関する文章を寄稿しました。 nag-nay.hatenablog.com 今年は『少女終末旅行』や『リズと青い鳥』などア…

フレデリック・ワイズマン『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

公開から一ヶ月経ってしまったこともあり快適な空間で鑑賞することができた。ワイズマンの新作は『ナショナル・ギャラリー英国の至宝』(2014)ぶりだったろうか、最近イメフォとアテネでやっていた特集上映には時間が合わなくて『動物園』(1993)しか見れ…

『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』1回目

数を数えるとき、1の次は2が一般的だろう。そして2の次は3であるし、3の次は4が待っている。1階の階段を上がると2階につくし、校庭を2回周れば2周目という。野球の試合を見ていると1回表、1回裏、2回表、3回裏、といったように続いていく。そのように私たち…

ラリー・クラーク『KIDS/キッズ』(1995)

若い男女がキスをしている。おおよそ真実を口にしていなさそうな若い男が彼女を口説く。 「何を考えているかわかるかい?」 「セックスでしょ?」 君のことばかり考えている。セックスは最高さ。妊娠なんてしない大丈夫さ。と嘘八百を口にしながらついに彼女…

「山田尚子」論に向けて(2)――古典から見る映画の振動について

前回「山田尚子」論に向けて思考の見取り図のようなものを書いてみたが、他にも書きたいことが出てきたので、(2)としてみた。続きというか、もっと断片的なことになるかもしれない。前回と同じくこの文章がそのまま本論につながっていくかわからないが、…