つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーション、音楽のこと

ラリー・クラーク『KIDS/キッズ』(1995)

若い男女がキスをしている。おおよそ真実を口にしていなさそうな若い男が彼女を口説く。

「何を考えているかわかるかい?」

「セックスでしょ?」

君のことばかり考えている。セックスは最高さ。妊娠なんてしない大丈夫さ。と嘘八百を口にしながらついに彼女と性交へ——。

若いということはそれだけで輝かしければそれだけで罪深い存在である。ストリートカルチャーどっぷりな彼らは当然のように万引きをするし、セックスの話ばかりする。親の金をくすねてマリファナを買えば喧嘩を売って仲間で寄ってたかってリンチもする。時間はたっぷりあるけど金はない。金がないけど女は口説きたい。何が魅力的なのか全くもってわからないが、女はホイホイとクズ男に引っかかっていく。金やクスリや酒を共有するように軽薄に女も共有する。誰かが固有の誰かのものではなく、みんながみんなのもの。それに誰もケチをつけないし、そこいらでセックスをしていても知らん顔。けだるくて軽薄な日々がフィルムに焼きついている。

男/女の会話をそれぞれモンタージュしたり、女の話をしているときにストリートカルチャー(スケボー等)の映像を組み合わせてみたりとまさに90年代感な編集か。特にこの頃というか、私は小学生だったのだけど、多分道徳とかの授業でHIV関連の映像をよく見たような記憶がある。それはテレビ経由も含まれていたかもしれないけど、彼らは家があるにも関わらずまるでカネフスキーの『ぼくら、20世紀の子供たち』(1993)のストリートチルドレンのようにストリートに生きている。ストリートでタバコを吸って、たまにマリファナやって、共通の友達と集まって飲んだりセックスしたりする。彼らには上下という価値観がなく、全てが等価であり、横のつながりが最優先される。2010年代がシェアの時代といわれるが、根本的に人間は誰かと誰かが繋がっていなければ生きてはいけない生き物——いわゆる大衆として——なんだなと改めて実感するような作品だ。

多分幾つかの似たようなテーマの作品を見たような気がするし、今見ても対して新しさのようなものは感じないけれど、フィルムの質感や彼らの気だるい表情。過去も未来もなくただ目の前の尻を追いかける彼らの軽薄さが生っぽく焼き付いているので、ひさびさに見ることができてよかった。この辺りそこまで追っていないけど、最近の映画だと『浮草たち』とか『グッド・タイム』あたりがメジャーどころのフォロワーだろうか。インディー系というと『パリ行き』も観光シーンがずっと続いていたら最高だったんだけど。

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