恒例の新作映画ベスト10です。例によってあんまり見れていませんが、10本は選べたので。おまけで最後に旧作ベスト書いてます。よいお年を!
『アステロイド・シティ』 ウェス・アンダーソン
劇内のお話でもこの世界には風が吹いているし、振動も伝わってくる。イカれた子供が家から飛び降りたり、原発実験が近くで行われている。みんなが宇宙船を目撃すること=同じ方向を向くことに感動する。それなのに本来劇内に登場するはずだった亡き妻(設定)とは、ビル越しにひとりで再会する。ここにグッとくる。このあまりにも複雑に入り込んだフィクション構造は狂人の世界。突然始まる調子外れの暴力もいつも通りのウェス・アンダーソン。ここ最近でいちばん面白かった。
『ファースト・カウ』 ケリー・ライカート
まるで古典映画を見ているような犯罪シーン。緻密な演出によって作られた緊張感がやばかった。今年で一番ハラハラドキドキした新作映画。
『グリッドマン ユニバース』 雨宮哲
学園祭準備していたところから2人でアイスを買いにいくシーンで月を2回も映すあたり、完全に告白シーン前兆モードだった。最後のワンシーン見てたら照れちゃうよね。めちゃくちゃよかった。
『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』 ジェームズ・グレイ
そこいらの映画なら墓場のシーンで数カット使って、埋葬しているところまで繋げていきそうなものだけど、わずか2カットで終わらしている。また、犯罪シーンでは友人が捕まる一部始終を主人公が目撃しているというカットだけで見せている。ふつうなら捕まるシーンで盛り上げそうなものが、遠景ショットだけで語る慎ましさ。主人公やその周りの人たち以外はほとんどアップショットを避けている。ずっとカットが心地いいが、特にPC盗んで〜という犯罪シーンものすごい緊張感があってよかった。
『ショーイング・アップ』 ケリー・ライカート
ミシェル・ウィリアムズのしかめっ面が最高! 住んでいるアパートの給湯器が壊れて2週間は入れない。しかも大家に文句言っても「個展があるから」と断られてしまう。「私だって個展があるのに!」速く作品を作ろうとしても猫がエサをせがんでくるし、エサは切らしているので買いにいかなければならない。なぜか自分の猫が殺しかけた鳩を大家が拾ってきて、治療を手伝いした挙句に預からなければならない。兄弟は狂人化していて、なぜか巨大な穴を掘っているし、隣の大家は個展を成功させて大盛り上がりで「やかましい!!」 神経質な人間が悪意はないけど意地悪されたら? という発狂モノ映画。
『ノック 終末の訪問者』 M・ナイト・シャマラン
闇雲に集められたものたちだからプロフェッショナルではなく、ぎこちない手つきの襲撃だから映画がわちゃわちゃして面白くなる。それとバーでの即物的な暴力の気持ちよさ。ニュース映像のフェイクっぽさもよかった。『ハドソン川の奇跡』や『回路』を連想した。『オールド』から飛躍的に面白くなった気がする。シャマラン2ndステージみたいな。
たまたま目撃してしまった春画に心囚われる……みたいな話は好きだが、カット単位でいちばんびっくりしたのは柄本佑のブーメランパンツ(青)!*1
『忌怪島』 清水崇
みんなで心霊ビデオを鑑賞する感覚。やっぱり細田守が『竜そば』で心霊ビデオをやったのは誰よりも一足早いよねって感じた。もちろん、ベタに心霊ビデオだったりこう言ったホラー映画がやるのはわかるが、それを清水崇が打ち返してきたのが素朴に嬉しい。島シリーズ続いて欲しい。
『EO』 イエジー・スコリモフスキー
これもカットに驚きがあった映画の一つ。いきなりロバがダム(か、何か水が滝のように流れているところ)で水が轟音鳴らしているところに素朴に立っているカット。あまりにも面白すぎた。フーリガンが襲撃に来るシーンで室内からのカットを避けて、外にあるカメラで室内から放り出された椅子がガラスを割って飛び出してくるシーン、さすがだと思う。それとユペールが出てくるといきなり映画の強度が増すよね。ほとんどギャグ映画だと思う。
リビング・デッド!! ひさびさの『ダーク・グラス』で帰ってきたアルジェントを選ぼうか、これまた久々に呪いのビデオに帰ってきた中村義洋と選ぶか、かなり迷ったが、なぜか緊急時に森に逃げたり(謎のオマージュ/アルジェントの新作も森が出てきていた)、最終的に子供を○○流れにするの、ほんまに東映これ大丈夫なん?ってほどの覇気の入り方で選ぶしかなかった。
旧作ベスト
- 港祭りに来た男 (マキノ雅弘/1961)
- 雨にぬれた鋪道 (ロバート・アルトマン/1969)
- ブレーキ・ダウン (ジョナサン・モストウ/1997)
- ハナ子さん (マキノ雅弘/1943)
- トルトゥ島の遭難者たち (ジャック・ロジエ/1976)
- 悪の階段 (鈴木英夫/1965)
- 資金源強盗 (深作欣二/1975)
- 私の血に流れる血
- ナイトビジター (ラズロ・ベネディク/1970)
- 帰らざる河 (オットー・プレミンジャー/1954)
- フォー・クリスマス (セス・ゴードン/2008)
- パペット・マスター (ソニー・ラグーナ、トミー・ウィクランド/2018)
- 猛獣大脱走 (フロンコ・E・プロスペリ/1983)
- ザ・ゲート (ディボー・タカクス/1987)
- 川沿いのホテル (ホン・サンス/2018)
ろくに映画見れてないから層がうっすいですが……。トップ5くらいは全部横並びくらいかもしれないと思いつつ、マキノ、アルトマンが抜きん出ている気もするが、ジョナサン・モストウほんとに面白いんだよね。セス・ゴードンは思わぬ拾い物だった。
*1:この前のシーンで女と佑がヤっているけど、全然顔が視認できないのがすごいと思う。多分、演出の一環でそうしている。だからこそ佑の青いパンツに驚かされるってのもある。