つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーション、音楽のこと

映画

濱口竜介『親密さ』(2012)

やっと『親密さ』を見た。濱口竜介のフィルモグラフィーをたどるならば、避けては通れない映画だっただけに何年か前、映画専門チャンネルだったかでかかったときに録画をしたのだけど、なかなか覚悟が決めれずに放置していた。2010年代が終わり、2020年代が…

森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』(1985)

「ただいま!」 森崎東の映画にとって長年家を離れていた子供が家に帰ってくる。まるで昨日もそこに住んでいたかのように自然に。『喜劇 女は男のふるさとヨ』(1971)では、血が通っていない父/子でさえも、「姉ちゃんが帰ってきたって!」と大騒ぎとなる…

ジェームズ・マンゴールド『フォードvsフェラーリ』

地面スレスレに設置されたカメラ、ドライバーの顔に次ぐ顔。エンジンが回転数を上げトップスピードに。視界は不明瞭となり、気がつくと病院のベッドの上だ。「もう、心臓がもたない」と告げられたマット・デイモンは車に乗り込みフルスピードで病院を後にす…

2019年映画裏ベスト

さて、これも恒例(去年やってないけど?)の2019年映画裏ベスト。裏といってもただ旧作映画の順位づけだけという… 一匹の狼/ロンサム・コップ 喜劇 男は女のふるさとヨ 鉄砲玉の美学 殺し屋ネルソン Um Século De Energia 殺人捜査線 時代屋の女房 ビガー…

2019年映画ベスト10

2010年代ラストになってしまいました。2019年は私的なことでバタバタしたりと、いつもより映画を見ていない気もしますが、新作100以上見ていれば文句ないっしょということで例年通りのベスト10! www.youtube.com ひかりの歌 トイ・ストーリー4 ある女優の不…

ジョン・フォード『ウィリーが凱旋するとき』(1950)

オープニング音楽を演奏し終わったところで「戦争だ!日本が真珠湾に攻撃をしかけてきた!」と報告が入る。ウィリーは徴兵され運転は苦手だが、射撃手としては抜群の成績を残し、いざ戦争に! と意気込むもなかなか戦場に派遣されない。基地が地元だったこと…

神代辰巳『死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い』(1987)

シネマヴェーラの神代特集で彼の手がけた火サスを見た。ところで火サスといえば先日見たcuntsがオープニングで火カスのテーマソングを使っていたなーと思いつつ、「じゃじゃじゃっじゃーーーーん」と音楽が劇場を流れ始める。そしてもうひとつ思い出すのであ…

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』についての取りとめもない雑記

音の視覚化について試みたと考えられる『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(2005)では、レミング病と呼ばれる自殺病が流行った世界を描いている。言うなれば少し先の未来、大雑把にいえばSF映画にあたるのであるが、再見して思ったのはやっぱり「西部劇」で…

『見えない目撃者』と『クロール-凶暴領域-』

邦画の中ではぜひとも支持をしたいと思わせた『見えない目撃者』。ただ、冒頭の吉岡里帆が失明するシーンに関してはもう少し簡潔に終わらせられなかったものか。あれなら車が事故を起こす(横転する)、そして、次は助けられた吉岡のショット。車どかーん。…

どこか浮世絵離れしたできごととしての——『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

自身の映画記憶から引用に次ぐ引用、音楽的センス、『パルプ・フィクション』で見せた時系列操作といいDJとしてのタランティーノの総合的な一本になった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。シャロン・テートがレコードプレイヤーで音楽をか…

Letterboxdで映画オールタイムベスト100のリストを作ってみた

フォロイーさんより情報を得て、海外シネフィルの動向をウォッチングするために導入したLetterboxdというアプリで、自分だけの映画リストを作れるらしいと知り、試しに映画オールタイムベスト100を作ってみた。ただ、やってみると鈴木則文さえ網羅できていな…

ジョシュ・クーリー『トイ・ストーリー4』

水路に流されそうになるラジコン(RC)を助けに共同で助けようとするおもちゃたち。なんとか捕まえ部屋に戻るが、スタンド照明とセットにされているボー・ピープがダンボールにしまわれて別の人のもとへ渡ってしまう。助けようとするウッディであるが、ボー…

安里麻里『アンダー・ユア・ベッド』(2019)

私はこの作品に対して批評的にどう優れているだとか、映画原理主義的にどうだとか到底いえない。それでも言葉にしなければならないと思ったのは、この真摯な映画に感動してしまったからで、その痕跡を残しておきたかったからだ。 おそらく『アンダー・ユア・…

フレデリック・ワイズマン『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館 Ex Libris: The New York Public Library』(2017)の構造について

3時間を超える作品であっても、毎回新作が公開されると駆けつけてしまうフレデリック・ワイズマン。長いと思っていても見れてしまうのは彼の作るリズムにあるのだろう。『ニューヨーク公共図書館』のランタイムは205分だ。決して短くない。今回は本作の構造…

2019年上半期 新作映画ベスト10

今年はあまり見れなかったが、ギリギリ10本集まったので。もちろん長編・短編なんでもありベスト。 ひかりの歌 Wild Love 7月の物語 復讐者のメロディ テリファイド パチャママ リム・オブ・ザ・ワールド イメージの本 阿吽 ワイルドツアー カメラが捉える世…

映画雑記04

公開ひと月も経たないまま上映館が少なく、数日前の予約でなければ取れなかった『プロメア』。キャラ造形と物語は今石x中島の手癖によるところが大きく、作画監にすしお氏が入っていることからも『グレンラガン』を想起するような造形だらけ。とにかく動き回…

映画雑記03

真夜中のひと気のいない夜の路線が映される。そこに置かれたカメラはしばらくの間そのまま静止する。すると列車の暖かなヘッドライトの光が見えてくるとガタン・・・ゴトン・・・といった音とともに、ホーム(画面)手前から奥に向かって電車が到達する。実に静か…

ギヨーム・ブラック『7月の物語』

オープニング。長めに映されたショットで、階段から降りてきた少女が踊り場の壁をひたすら殴る蹴る場面を捉える。しばらく壁との攻防が続くと、階段から彼女の知り合いらしき女性が降りてきて声をかける。スタンダードの画面効果か、彼女らの位置関係にメリ…

映画雑記02

各作品ごとに1記事書くのが困難と思うようになってきた。それ以上に映画に対して何かを書くといったことがツイッターの文字数でも難しい。おそらく時間が解決することなんだろうと思いながらキーボードを叩く。ところで何かを書くならキーボードがベストだ。…

映画雑記01

先日シネスイッチ銀座にてゴダールの『イメージの本』を見てきた。今年はゴダールといいイーストウッドといい高齢映画監督たちの映画が次々に公開されている。『運び屋』は近年のイーストウッドでいちばんよかった。家の中にいるイーストウッドが車の音を聞…

楫野裕『阿吽』

映画というよりも、どこかの部室の片隅に落ちている記録フィルムのような作品だ。8ミリフィルムで撮られた黒白画面は表面上の傷や埃などが、あえてそのまま残してあるような感覚を受ける。そのざらついたイメージが、90年代後半以降の心霊ビデオなどの何か危…

三宅唱『ワイルドツアー』

スマホの画面からデジタルヴィデオカメラの画面、そしてPCモニター(編集)と移り変わるフォーマットの差異を見て『無言日記』や『THE COCKPIT』、そして短編映画など彼のフィルモグラフィーが透けて見えるようだった。いまどきのスマホ(インスタ、ティック…

杉田協士『ひかりの歌』

のれんをしまう店員。ほんのりと光が透過されるすりガラスのドア。まかないを食べ、一人の女性が店を去るのであろうか、多すぎない幾つかの言葉が交わされる。髪の長い女性と短い女性。髪の短い女性は高校の臨時教師として美術に関わっているようだ。髪の長…

2018年 新作映画ベスト10

毎年恒例の新作映画ベスト。以下ベストと雑感を。 www.youtube.com リズと青い鳥 ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション きみの鳥はうたえる パディントン2 それから 大人のためのグリム童話 手をなくした少女 ニューヨーク、ジャクソンハイ…

映画映画ベストテン

毎年恒例となっているワッシュさんのところのベストテン企画へ参加します。今年のテーマは「映画映画ベストテン」とのこと。 d.hatena.ne.jp 教授とわたし、そして映画(ホン・サンス、2010) カミュなんて知らない(柳町光男、2006) Notre nazi/Unser Nazi…

フレデリック・ワイズマン『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

公開から一ヶ月経ってしまったこともあり快適な空間で鑑賞することができた。ワイズマンの新作は『ナショナル・ギャラリー英国の至宝』(2014)ぶりだったろうか、最近イメフォとアテネでやっていた特集上映には時間が合わなくて『動物園』(1993)しか見れ…

ラリー・クラーク『KIDS/キッズ』(1995)

若い男女がキスをしている。おおよそ真実を口にしていなさそうな若い男が彼女を口説く。 「何を考えているかわかるかい?」 「セックスでしょ?」 君のことばかり考えている。セックスは最高さ。妊娠なんてしない大丈夫さ。と嘘八百を口にしながらついに彼女…

『寝ても覚めても』と『きみの鳥はうたえる』

彼女は二度寝る。 『寝ても覚めても』唐田えりかは上品なお嬢様風の空気を身をまといながら、ちょっと外れた人物を演じている。ふたりの東出はもちろん不気味に描いているのだが、どうも唐田えりかも十分怪物に見えてくる。濱口竜介は期間限定で配信されてい…

セバスチャン・ローデンバック『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』(2016)

高校か大学生の頃だったろうか。それまで「グリム童話」といえばディズニー長編アニメーションの『シンデレラ』や『白雪姫』などの作品くらいでしか知見がなかったのが、何が始まりだったか「本当は怖いグリム童話」の流行で『シンデレラ』の姉たちはガラス…

上田慎一郎『カメラを止めるな!』

先日より拡大公開されたことで何とか『カメラを止めるな!』(以下『カメ止』と略す)を見に行けた。TOHOシネマズ日比谷の大きなスクリーンだったが、それでも満席になっていたので配給会社はウハウハだろうな、と思いながら鑑賞した。確かに人も入っていた…