つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーションのこと

映画

2023年映画ベスト10

恒例の新作映画ベスト10です。例によってあんまり見れていませんが、10本は選べたので。おまけで最後に旧作ベスト書いてます。よいお年を! アステロイド・シティ ファースト・カウ グリッドマン ユニバース アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 ノック 終…

2022年映画ベスト10

恒例のやつです。今年新作はおろか映画すらまともに見れなかったし、鑑賞メモすら飛んだのでわからんのですが、新旧合わせて200も見てないかも。そんこんなでここ10年くらいでいちばん映画見てないんですが、それはそれとして以下ベストです。 1.ETERNITY 2.…

動き続ける映像は面白い『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』(白石晃士、2022)*ネタバレあり

白石監督ひさびさのフェイクドキュメンタリーということで、劇場公開初日朝イチから映画館へ駆けつけて鑑賞し、パンフレットをゲットしてきた。結論から先にいうと、白石監督のフィルモグラフィーのなかでもかなり面白い。ベルギーのフェイクドキュメンタリ…

2021年映画ベスト10

コロナ禍ということもありましたが、例年通りあまり新作をガツガツみることに意味を見出すこともできなくなり(理由はさまざまですが)、今年は新作だけではベストができなかったので初見・旧作を含めたベストにしました。 鱒 モード家の一夜 ミッドナイト・…

ヒョウソウ、ガイブ、ジブンガタリ『花束みたいな恋をした』

「大学生の頃、髪を赤く染めて高校の時に始めたギターで、XのBLUE BLOODを練習したけど、練習嫌いだったからすぐ辞めちゃったな。スラッシュドミネイションでテスタメントを見て、運動会(サークルモッシュ)したなあ〜。ムックが明るくなっちゃって、残念だ…

2020年新作映画ベスト

あまり映画見ていない年だったけど、一応恒例なので。 ブルータル・ジャスティス Betty 逃げた女 アンカット・ダイヤモンド フォードvsフェラーリ 呪われた心霊動画XXX NEO 05 ジオラマボーイ・パノラマガール イップ・マン 完結 mid90s レイニーデイ・イン…

こうあるべきを否定して——『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、主人公・竈門炭治郎が自分の首を斬り落とそうとするシーンがある。彼の仲間である伊之助は「敵に騙されるんじゃねえ!」と、彼の自決を止めるのだが、ここで首を斬り落とした/死んだとして本当に彼は死ぬのだろうか…

2010年代映画ベスト100——私の体験した2010年代の映画について *約1万字の総評つき

2010年代も終わってしまって、気がついたら5ヶ月も過ぎてしまっていました。新作映画を見に行けるような状況ではないのにやたらと時間があるので、自分なりに2010年代を振り返ってみたく、2010年代の映画ベスト100をやってみました。 一応順位はつけています…

濱口竜介『親密さ』(2012)

やっと『親密さ』を見た。濱口竜介のフィルモグラフィーをたどるならば、避けては通れない映画だっただけに何年か前、映画専門チャンネルだったかでかかったときに録画をしたのだけど、なかなか覚悟が決めれずに放置していた。2010年代が終わり、2020年代が…

森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』(1985)

「ただいま!」 森崎東の映画にとって長年家を離れていた子供が家に帰ってくる。まるで昨日もそこに住んでいたかのように自然に。『喜劇 女は男のふるさとヨ』(1971)では、血が通っていない父/子でさえも、「姉ちゃんが帰ってきたって!」と大騒ぎとなる…

ジェームズ・マンゴールド『フォードvsフェラーリ』

地面スレスレに設置されたカメラ、ドライバーの顔に次ぐ顔。エンジンが回転数を上げトップスピードに。視界は不明瞭となり、気がつくと病院のベッドの上だ。「もう、心臓がもたない」と告げられたマット・デイモンは車に乗り込みフルスピードで病院を後にす…

2019年映画裏ベスト

さて、これも恒例(去年やってないけど?)の2019年映画裏ベスト。裏といってもただ旧作映画の順位づけだけという… 一匹の狼/ロンサム・コップ 喜劇 男は女のふるさとヨ 鉄砲玉の美学 殺し屋ネルソン Um Século De Energia 殺人捜査線 時代屋の女房 ビガー…

2019年映画ベスト10

2010年代ラストになってしまいました。2019年は私的なことでバタバタしたりと、いつもより映画を見ていない気もしますが、新作100以上見ていれば文句ないっしょということで例年通りのベスト10! www.youtube.com ひかりの歌 トイ・ストーリー4 ある女優の不…

ジョン・フォード『ウィリーが凱旋するとき』(1950)

オープニング音楽を演奏し終わったところで「戦争だ!日本が真珠湾に攻撃をしかけてきた!」と報告が入る。ウィリーは徴兵され運転は苦手だが、射撃手としては抜群の成績を残し、いざ戦争に! と意気込むもなかなか戦場に派遣されない。基地が地元だったこと…

神代辰巳『死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い』(1987)

シネマヴェーラの神代特集で彼の手がけた火サスを見た。ところで火サスといえば先日見たcuntsがオープニングで火カスのテーマソングを使っていたなーと思いつつ、「じゃじゃじゃっじゃーーーーん」と音楽が劇場を流れ始める。そしてもうひとつ思い出すのであ…

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』についての取りとめもない雑記

音の視覚化について試みたと考えられる『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(2005)では、レミング病と呼ばれる自殺病が流行った世界を描いている。言うなれば少し先の未来、大雑把にいえばSF映画にあたるのであるが、再見して思ったのはやっぱり「西部劇」で…

『見えない目撃者』と『クロール-凶暴領域-』

邦画の中ではぜひとも支持をしたいと思わせた『見えない目撃者』。ただ、冒頭の吉岡里帆が失明するシーンに関してはもう少し簡潔に終わらせられなかったものか。あれなら車が事故を起こす(横転する)、そして、次は助けられた吉岡のショット。車どかーん。…

どこか浮世絵離れしたできごととしての——『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

自身の映画記憶から引用に次ぐ引用、音楽的センス、『パルプ・フィクション』で見せた時系列操作といいDJとしてのタランティーノの総合的な一本になった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。シャロン・テートがレコードプレイヤーで音楽をか…

Letterboxdで映画オールタイムベスト100のリストを作ってみた

フォロイーさんより情報を得て、海外シネフィルの動向をウォッチングするために導入したLetterboxdというアプリで、自分だけの映画リストを作れるらしいと知り、試しに映画オールタイムベスト100を作ってみた。ただ、やってみると鈴木則文さえ網羅できていな…

ジョシュ・クーリー『トイ・ストーリー4』

水路に流されそうになるラジコン(RC)を助けに共同で助けようとするおもちゃたち。なんとか捕まえ部屋に戻るが、スタンド照明とセットにされているボー・ピープがダンボールにしまわれて別の人のもとへ渡ってしまう。助けようとするウッディであるが、ボー…

安里麻里『アンダー・ユア・ベッド』(2019)

私はこの作品に対して批評的にどう優れているだとか、映画原理主義的にどうだとか到底いえない。それでも言葉にしなければならないと思ったのは、この真摯な映画に感動してしまったからで、その痕跡を残しておきたかったからだ。 おそらく『アンダー・ユア・…

フレデリック・ワイズマン『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館 Ex Libris: The New York Public Library』(2017)の構造について

3時間を超える作品であっても、毎回新作が公開されると駆けつけてしまうフレデリック・ワイズマン。長いと思っていても見れてしまうのは彼の作るリズムにあるのだろう。『ニューヨーク公共図書館』のランタイムは205分だ。決して短くない。今回は本作の構造…

2019年上半期 新作映画ベスト10

今年はあまり見れなかったが、ギリギリ10本集まったので。もちろん長編・短編なんでもありベスト。 ひかりの歌 Wild Love 7月の物語 復讐者のメロディ テリファイド パチャママ リム・オブ・ザ・ワールド イメージの本 阿吽 ワイルドツアー カメラが捉える世…

映画雑記04

公開ひと月も経たないまま上映館が少なく、数日前の予約でなければ取れなかった『プロメア』。キャラ造形と物語は今石x中島の手癖によるところが大きく、作画監にすしお氏が入っていることからも『グレンラガン』を想起するような造形だらけ。とにかく動き回…

映画雑記03

真夜中のひと気のいない夜の路線が映される。そこに置かれたカメラはしばらくの間そのまま静止する。すると列車の暖かなヘッドライトの光が見えてくるとガタン・・・ゴトン・・・といった音とともに、ホーム(画面)手前から奥に向かって電車が到達する。実に静か…

ギヨーム・ブラック『7月の物語』

オープニング。長めに映されたショットで、階段から降りてきた少女が踊り場の壁をひたすら殴る蹴る場面を捉える。しばらく壁との攻防が続くと、階段から彼女の知り合いらしき女性が降りてきて声をかける。スタンダードの画面効果か、彼女らの位置関係にメリ…

映画雑記02

各作品ごとに1記事書くのが困難と思うようになってきた。それ以上に映画に対して何かを書くといったことがツイッターの文字数でも難しい。おそらく時間が解決することなんだろうと思いながらキーボードを叩く。ところで何かを書くならキーボードがベストだ。…

映画雑記01

先日シネスイッチ銀座にてゴダールの『イメージの本』を見てきた。今年はゴダールといいイーストウッドといい高齢映画監督たちの映画が次々に公開されている。『運び屋』は近年のイーストウッドでいちばんよかった。家の中にいるイーストウッドが車の音を聞…

楫野裕『阿吽』

映画というよりも、どこかの部室の片隅に落ちている記録フィルムのような作品だ。8ミリフィルムで撮られた黒白画面は表面上の傷や埃などが、あえてそのまま残してあるような感覚を受ける。そのざらついたイメージが、90年代後半以降の心霊ビデオなどの何か危…

三宅唱『ワイルドツアー』

スマホの画面からデジタルヴィデオカメラの画面、そしてPCモニター(編集)と移り変わるフォーマットの差異を見て『無言日記』や『THE COCKPIT』、そして短編映画など彼のフィルモグラフィーが透けて見えるようだった。いまどきのスマホ(インスタ、ティック…