つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーションのこと

2000年以降の音楽ベスト100 (2018.8.12時点)

ツイッターで2000年以降のベストアルバム25を出している人がいて、ちょっと気になったので自分もやってみることに。25枚には絞れなくて、結局100枚選びました。これでも1年につき10枚も選べないという。音楽リストってのは映画とは違い趣向が出すぎてジャンル外の人は全くわからないと思うので、リスト後に感想というか紹介文つけました。後に書いたほどめんどくさくてテキトーになっているのはご愛嬌で。何枚書いているかわからなくなったのでわかりやすく番号ふっていますが、リリース年順です。上も下もありません。

 

  1. SLIGHT SLAPPERS / A Selfish World Called Freedom2000
  2. 陰陽座 / 百鬼繚乱(2000
  3. Electric Wizard / Dopethrone2000
  4. 324 / 冒涜の太陽(2000
  5. / 自我と煩悩(2000
  6. babysitter / 空しい空の空(2000)
  7. DYING FETUS / DESTROY THE OPPOSITION(2000)
  8. Church of Misery / Master of Brutality2001
  9. Exclaim / Critical Exploder2001
  10. Emperor - Prometheus:The Discipline of Fire&Demise2001
  11. Muse - Origin of Symmetry2001
  12. Fantomas - The Director's Cut2001
  13. Slipkont / Iowa2001)
  14. Envy / 君の靴と未来(2001)
  15. Goat Semen / Demo 12002
  16. Dir en grey / 鬼葬(2002
  17. ムック / 葬ラ謳(2002
  18. Framtid / Under The Ashes2002
  19. Boris - Heavy Rocks2002
  20. Hellnation / Dynamite Up Your Ass2002
  21. INFEST / No Man's Slave2002
  22. 坂本真綾 / 少年アリス2002
  23. Exhumed / Anatomy Is Destiny2003
  24. Sleep / Dopesmoker2003
  25. Dir en grey / VULGAR2003
  26. FASTS / st2003
  27. NASUM / Helvete2003
  28. Die You Bastard! / 全身全霊(2003
  29. Dark Sanctuary / LES MEMOIRES BLESSEES(2003)
  30. ムック / 朽木の灯(2004
  31. Tomorrow / Chiedi Troppo!!(2004)
  32. Pig Destroyer / Terrifyer2004
  33. GREENMACHiNE / The Archives Of Rotten Blues2004
  34. Dargaard / Rise And Fall2004
  35. Ekkaia - Demasiado Tarde Para Pedir Perdon2004
  36. メリー / nuケミカルレトリック(2005
  37. Abigail - Ultimate Unholy Death2005
  38. Vivisick - Fuck On The Beach / Let's Do The Kamikaze Twist!!(2005)
  39. Acute / へび女(2006)
  40. UNHOLY GRAVE / Terroraging Crisis2006
  41. Leadershit / st2006
  42. COFFINS / The Other Side Of Blasphemy2006
  43. Disgust / War Deterrent2007
  44. Sigh / Hangman's Hymn - Musikalische Exequien2007
  45. Swarrrm - Muga / split2007
  46. In Disgust / Reality Choke2007
  47. Ictus / Imperivm2007
  48. Heaven In Her Arms / 黒斑の侵略(2007
  49. Elend / A World In Their Screams2007
  50. EARTHLESS / RHYHMS FROM A COSMIC SKY(2007)
  51. Jig-Ai / Katana Orgy2008)
  52. sgt. / Stylus fantasticus(2008)
  53. Don Caballero / Punkgasm(2008)
  54. Venetian Snares / Filth2009
  55. UNDERGANG / Indhentet Af Doden2009
  56. Kalafina / Seventh Heaven2009
  57. Dragged Into Sunlight / Hatred For Mankind2009
  58. Annal Nathrakh / In the Constellation of the Black Window2009)
  59. PUNCH / st(2009)
  60. Black Breath / Heavy Breathing2010
  61. Black Witchery / Inferno Of Sacred Destruction2010
  62. Masakari / The Profit Feeds2010
  63. Sex Prisoner / st2010
  64. COHOL / 空洞(2010
  65. Vampillia / Rule the World + Deathtiny Land2011
  66. ENSLAVE - FAR EAST HARDCOREPUNK2011
  67. Imperial Circus Dead Decadance / 狂おしく咲いた凄惨な骸は奏で、愛おしく裂いた少女は聖餐の謳を謳う。(2011
  68. ANATHEMA - Weather Systems2012
  69. The Kill / Make 'Em Suffer2012
  70. PALM / My Darkest Friends2012
  71. Think Again / Never2012
  72. Backslider / Maladapted2012
  73. ETERNAL ELYSIUM / Highflyer(2012)
  74. Primitive Man / Scorn2013
  75. ELMO / Change But True - 2nd demo-2013
  76. Defeated Sanity / Passages Into Deformity2013
  77. COMPLETED EXPOSITION / Structrure Space Mankind2013
  78. Weekend Nachos / Still2013
  79. Locrian / Return to Annihilation2013
  80. IRON LUNG / White Glove Test2013
  81. Tim Hecker / Virgins(2013)
  82. Teitanblood / Death2014
  83. DEMOLITION / Bombenhagel2014
  84. CAVE STATE / st2014
  85. Triptykon / Melana Chasmata2014
  86. Behemoth / The Satanist2014
  87. 喜多村英梨 / × -SHOMEI-2014
  88. GANG UP ON AGAINST / Park2015
  89. Second to none / Bab-llu2016
  90. Su19b / The World Domed To Violence2016
  91. sekien / st2016
  92. FRIENDSHIP / EPⅡ2016 
  93. Sunday Bloody Sunday / st2016
  94. ASYLUM / A WAKE IN A REVISITED WORLD2016
  95. SELF DECONSTRUCTION / Wounds2016
  96. Moribund Punishment / Killer Dynamite2016)
  97. Martyrdod / List(2016)
  98. 羅生門 / demo2017
  99. 小松未可子 / Blooming Maps2017
  100. ZAY / CRY FOR THE MOON2017 

 

以下、簡単なレヴュー/コメントです。動画はアルバムに関係あったりなかったり。

 

  • SLIGHT SLAPPERS / A Selfish World Called Freedom2000

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TOKYO POWER VIOLENCE!!スライトスラッパーズの1st!パワーヴァイオレンスは暴力的であり速くて遅くて…って要素は確かにあるのだけど、どうやら自分はポップでキャッチーな音楽が好きって気づいたきっかけでもあるアルバム。歌えなくても歌いたくなる!そんな迫ってくるものが好き。パワーヴァイオレンスの殿堂入りアルバム。

 

日本の妖怪メタルバンド陰陽座の2nd。京極夏彦ヨロシク!な世界観でお馴染みだけど、イロモノだけではここまでのキャリアを詰めなかっただろう。確固たる演奏技術に楽曲の素晴らしさ。京極夏彦の湿気と重金属のカラッとした音の質感が妙にマッチする。1stも好きですが、 「あなたが蜘蛛だったのですね」を聴いてしまうとどうしてもこっちを。

 

  • Electric Wizard / Dopethrone2000

ELECTRIC WIZARD - Vinum Sabbathi (HD) - YouTube

葉っぱ吹かせてヘロヘロで作りました!みたいなイギリス産ドゥーム/ストーナーメタルの3rd。こちらはドゥーム聞いたことなかった時代にネットである方(数年前ツイッターで再会したのだけど今行方不明)に教わったのだけど、ドゥーム初めがこれだったのでドゥームに対するハードルが未だに高い。でも考えてみればサバスは好きだったので好きになる遺伝子的なものは身体に埋め込まれていたのだろうな。リフがマジでたまらないです。歴史的大名盤。

 

日本を代表するグラインドコアの大名盤!324の1st。グラインドコアは速いにこしたことはないが、ボーカルによって良し悪しが出るジャンルのひとつであると思う。NASUMもやっぱミエツコってスーパーボーカル(特に3rd以降いい)がいたのも大きいだろうし、324の日本語で殺す!!かのような鬼気迫るボーカルスタイルがたまんない。もちろん楽器陣も素晴らしい。あと解散した日本のグラインドコアだとナックルヘッドとかも好きですね。

 

日本の陰鬱ハードコア屍のEP。HHIG直系なんだろうけど、なんで日本のバンドがやるとこんなに鬱いんだろうね。そりゃ求めているからこういった音が生まれているんだろうけど、日本って土壌がそうさせるのだろうか。ムックにせよ、やっぱ湿気があるよね。海外だとディプレが先に鬱い音楽として輸入されてきたような(歴史的事実はよくわかりませんが)気がするしメタル比重が強いのではないだろうか。日本だとハードコアやロックよりのバンドの方が鬱いのが目立つ気がする(私の観測点)。いづれにせよ美しくて、めちゃんこかっこいいハードコアっす。

 

90年代末から2000年代始めまで活動していたヴィジュアル系バンドbabysitterの1st。2000年のアルバムだけど90年代の音だったことがわかる。ボーカルはLaputa直系ですが、ダーク系Vの中でも突出してかっこいい。活動期間も少なくてあまり音源数は多くないのですが、大好きなバンドのひとつ。

 

アメリカのブルータルデスメタルバンドの3rd。デスメタルなんだけどハードコアが混じっているから好き。グロウルボイスからビートダウンにピロピロしたメロいギターに言うことなし。展開多いしフックの効いたリフがたまりません。

 

タイトルみれば一目瞭然ですが、サバスよろしく!な日本のドゥーム/ストーナーロックの1st。日本にもこんなにかっこいいバンドいるんだ!? って衝撃を受けるんじゃないだろうか。やっぱり音源だけで聞いているとどうしても外タレ崇拝(自分もそうでしたので)になってしまうんですが、ライヴハウス行って現場で聴いてみるとかっこいいバンドってたくさんいるんですよね。チャーチはメンバーいろいろ入れ替わったりして最近の音源は聞き込むまでハマっていないのですが、初期はほんとマストアイテム。飲みながら聞きたくなるね。

 

日本の伝説的ノイズ/ハードコアの2001年作。やっぱりハードコアパンクは勢いだな〜って感じる。昨年の正月にアンチノックでvivisickとツーマンやっていたのですが、もうたまらんもので感動してしまった。速いハードコアパンク好きにはマストアイテムっす。

 

  • Emperor - Prometheus:The Discipline of Fire&Demise2001

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皇帝ことEMPERORの最終作となった4th。冷たいブラックメタルが好きなので、EMPERORベストは1stだったりするのだけど、ほぼIHSAHN一人で制作された本作は、とても人間が作ったとは思えないような代物に。特徴的なのがピッキングハーモニクスを取り入れたリフと展開だろう。後々のIHSAHNのソロ活動もまたプログレッシブな方向へ進んでいくが、本作を超えるような作品は生まれないのではないか? と思うくらいとてつもない作品。

 

  • Muse / Origin of Symmetry2001

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英国のロックバンドMuse2nd1stの雰囲気を尖らせながらメジャーにどーんと持ち上げた印象だろうか。Museはこれか1stもしくは3rdが好きで特に冷たい雰囲気を持つ本作のタイトルソングのOrigin of Symmetryにガッツリとハートを持って行かれた。それとMicro cutsですかね、あの超絶ボーカル悶えるね。自分は特にロックを経由することなくメタルに入ったので、完全にMuseは後追いで聴いて、初めて聴いたときにブラックメタルみたいな冷たい雰囲気をロックに乗せている!ってびっくりしたのを覚えている。最近のはあんまり聴いていないのですが、来日すると今でもライヴ見に行ったりしているバンドのひとつ。

 

鬼才・マイクパットン率いる2ndファントマスのアルバムは全部好きですが、映画オタクであるマイクパットンの選曲センスがズバ抜けているので本作を。『ゴッドファーザー』や『オーメン』あたりはわかるとして、『DER GOLEM』とか『SPIDER BABY』なんて当時中高生だったので知らねえよ!みたいな。未だに輸入しないと見れない作品あるし、向こうではポピュラーだったのかもしれないけど、日本に入っていないネタを使っていて悔しい思いをしたのを覚えている。それとデイヴロンバートがライヴで叩いていたりしてメタルファンにはたまらない。

 

90年代から2000年代初頭に一大ブームを引き起こしたスリップノットの大名盤2nd。ニューメタル、メタルコアなど当時一大ブームになったが、とうとうここまでエンターテイナーなバンドは出てこなかった。謎の覆面集団、ショーのようなライヴセット。思わず口ずさみたくなるボーカルに、ノリのいいテンポとリズム。ヘヴィメタルとハードコアのキャッチーな部分を抽出して、そこにDJやら太鼓やらを打ち込むことで混沌とした音になりながらもボーカルが歌い上げてしまう…!ズバ抜けたセンス。太刀打ちできない!

 

日本の激情ハードコアシーンを作ったといっていいだろう。もっと初期のハードコアたるEnvyも好きだけど、Envyを唯一無二の存在に押し上げた本作がなんだかんだ一番好きかな。やっぱ今聴いても美しい。

 

SARCOFAGOヨロシクなウォー/ベスチャルブラックメタルのdemo。ペルー産なんですが、初めてこれを聴いたときは本当にびっくりした。フィジカルにぐわーっと迫る暗黒爆風サウンド。この迫ってくる感じってハードコアに求めているもの(ブレスフェミーしかり)だったりするんだけど、いやあ世界にはすごいバンドいるなーって。

 

前作『MACABRE』でヴィジュアルテイストの到達点へ達したと見られるDirは、方向転換をしていった。本作『鬼葬』はその変化の真っ最中に作られたアルバムといえるだろう。黒夢フォロワーから独自路線を築き上げそこからヘヴィロック、メタルといったジャンルを取り込むことになる。当時海外メジャーシーンでは、スリップノットやマリリンマンソンなどの独自な音楽を発するバンドがメジャーシーンで活躍していたし、ニューメタルやメロデスがお互いにジャンルを取り込む現象がよく見られた時代だ。次作ではスタイルを完成させているが、『鬼葬』は変化真っ只中で制作した過程にある蠢いた雰囲気が好きだ。正直サウンドも音がスカスカだったりするのだけど、スカスカの金属音がとてもたまらないし、どこか冷たい雰囲気がする感触はブラックメタル的プリミティヴ。大好きな作品だ。

 

初期ムックの到達点でもある本作(2nd)は、彼ら得意の昭和歌謡曲のメロディにメタルの重さを掛け合わせ、そこに陰鬱な歌詞を乗せるといったような独自な音楽。Dir en greyのフォロワーは増殖していった印象があるが、初期ムックのフォロワーは少なかったように思える。それはこの手のヴィジュアル系と呼ばれるジャンルでは珍しい達郎(vo)の低く粘りまとわりつくような歌唱方法にあるような気がしてならない。最近、再録版の『新葬ラ』もリリースされたので今との違いを楽しむのもいいだろう。

 

大阪のクラストFramtid1st1年に1回くらライヴ見て思うのだけど、現存するクラストの中で世界で一番かっこいいバンドじゃないかと思う。(別にクラスト専門家でもなんでもないんだけど)オブシンのときもDOOMよりかっこいいと思ったし、Dビートがかっちりハマるところで悶えるんだよね。つい拳を振りかざしたくなる名盤。

 

世界に羽ばたく日本のロックバンドBorisの2002年作。あえて”ロックバンド”と呼んで見たが、シーン内/外に問わずロックの人やハードコアの人、メタルの人など誰もが聴いているって考えるとその影響力は計り知れない。ロックというにはヘヴィネスすぎる(スラッジになったりするし)のかもしれないが、突如『New Album』みたいなアルバムも出たりするわけじゃないですか。ジャームッシュの映画にも使われたりするし。でも逆にsunn O)))とコラボしたり、メルツとかともやってたり、こんなにメジャーとマイナーを行き来するバンドもないんじゃないかな。本作はその中でもキャッチーな作品で聴いてて心地よくて大好き!

 

アメリカの暴走機関車(勝手に名付けた)ヘルネイションの2002年の6thかな? パワーヴァイオレンスというよりもファストコアっていったほうが的を射ているか。まるで爆風のようなボーカル、ギターが混ざり合いノイズみたいになっているんだけど、とにかくフルスピードで駆け抜けました!感が好きすぎる。まだ新品で落ちているのを見かけたりするのでヘルネイション入門にもいいのでは? 大名盤っす。

 

INFESTの名盤2nd。ファストコア/パワーヴァイオレンスの基本中の基本のような1枚。90年代に録音していた音源を02年になってリリースしたもの。どんなに速いメタルバンドでも、INFESTの体感速度に勝る速度をたたき出すバンドはなかなかいないだろう。音楽においても体感速度ってのは、高速道路から一般道に降りたとき(または一般道から高速道路)の感覚に似ていて、テンポチェンジの緩急によって〝速さを知覚できる。(体感速度の)速さを追求するファストコア/パワーヴァイオレンスを味わえる一級品の作品だ。ちなみにオリジナルは再発されないのでプレ値(INFESTの作品は海賊盤でもプレがつく)でオクかdiscogsなどで探すかしないと手に入らない。ちなみに私もオリジナルは持ってません!再発希望!

 

菅野よう子プロデュースが一旦解除になった坂本真綾4th。ポップスについて特に知見を持ち合わせていないが、シリアスで緊張感が持続する曲を歌う坂本真綾が好きなので『スクラップ~別れの詩』はオールタイムベスト級に大好き。彼女のディスコグラフィーからいっても重要な名盤だと思う。

 

アメリカのデス/グラインドの2003年作。Gore metalの方がよく聞くけど、この手の音ならカーカスの右に出るものなしって感じだし、ゴアっぽくボコボコしてないし音が分離してて聞きやすいこちらを。ジャケット気持ち悪いわりにめちゃくちゃ聴きやすいんだよね。キャッチーなので大好きです。

 

アメリカのストーナー/ドゥームの2003作。もともと短縮されてリリースされちゃったので実際には90年代のものだよね。永遠の反復…。来日いけなかったのだけが後悔。

 

ヴィジュアル系というカテゴライズから飛び出し世界へ羽ばたく助走のキッカケにもなった大名盤4th。この方向性を推し進めた5thが彼らの最高傑作だと言われることが多いけれど、本作のよさは彼らの作品の中でも一番ポップでキャッチーなところだろう。確かに『鬼葬』のエログロ的世界観も引き継いでいる(『Obsucure』がその到達点)けれど、ノリノリのロックナンバー『Increase Blue』や『かすみ』『Drain Away』等のキャッチーなメロディライン。そして『R To The Core』『Child Prey』のパンクっぽい疾走感ある楽曲と様々な特色があり、それが全てキャッチーというところがすごい。

 

東京のハイスピードレイジングハードコアバンドのFASTSの大名盤1st。これは完全に後追いでtoosmellさんでレコード盤購入したんですが、完全に打ちのめされた。ギターリフめっちゃかっこいいし、ベースとの絡みもヤバいし、ドラムはくそ速いし、ボーカルめっちゃキャッチー!!こんなバンドいたんですね!?ってなった。すでに解散していますが、ハードコア史があるなら確実に掲載されるバンドです。アナログ盤はまたtoosmellさんに入っていた(今日現在)と思うので買いですよ。

 

スウェーデンの伝説的グラインドコアの3rd。グラインドながらクールなスタイルが好き。キレでいえば大名盤の1stも捨てがたいが、ミエツコのボーカルが好きなので彼のボーカルが開花した3rdをチョイス。NASUMはライヴ盤も鬼かっこいいのでグラインドライヴ盤入門にピッタリかも。

 

日本の伝説的ドラマー・アイアンフィスト辰嶋氏がドラムを務めるダイユーバスタード!!!!の1st。辰嶋氏のドラムが聴いていると風圧がぶわーっとかかってくるんだよね。ってのも本人の出す雰囲気なのかもしれないけど、実際めちゃんこ速いわけで。ブラストぶっ放し放題なんだけど、グラインドコアっていうよりめちゃんこ速いハードコアなんだよね。大好き!

 

  • Dark Sanctuary / Les memoires Blessees(2003)

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フランスのダークゴシックバンドの4th。ヴァイオレインやシンセなどでダークなクラシックを女性ボーカルに乗せてやっているんですが、めちゃんこ美しい。ELENDあたりと比較されると思うんですけど、ELENDのような絶望感はないのでこのあたりを初めて聴く人にもオススメしやすいんじゃないかな。聴いてて泣きますね。ほんと。

 

ムックで最後の"暗い"作品になった4th。『葬ラウタ』の方向性をさらに煮詰めて自殺寸前までに追い込む究極の鬱さを目指した(推論です)作品。特に『誰もいない家』『遺書』『未完の絵画』の流れは非の打ち所がない。さすがにここまでの作品を出したら明るくなるしかないといったようで、次作『鵬翼』からは作風が激変していく。ムックのすべての”痛み”を内包した超超超名盤。オールタイムベストの一枚。

 

岡崎のイタリア語ハードコアパンクの2nd。解散してから一夜の再結成みたいな感じで一回だけみたことあるんですが、マジでかっこいい。それでレコ屋いって中古探し回ったなー。ライヴ見て興奮して音源聴いて興奮して岡崎ハードコアにメロメロだね。今の岡崎だとダイオードなんかもかっこいいね。Acuteももちろんだけど。岡崎ハードコアを聞いたことない人は是非って感じっす。

 

アメリカのグラインド・ピッグデストロイヤーの3rd。ピッグデストロイヤーは太鼓の音が好きなんよね。あとはヤケクソブチ切れボーカルというか笑。そういった意味だとクールなNASUMよりもアングラな音を出しているんだろうな。なんでも今年アルバムを出すとか出さないとかでそちらもめちゃくちゃ楽しみ!

 

金沢が世界に誇るハードコア・ロックの3rd。ハードコアロックってなんぞや? って話なんだけど、音だけ聞いていればヘヴィロック的な位置づけなのだけど、ライヴ見ているとハードコアパンクのエッセンスというか魂みたいなものをぐっと感じるんだよね。ロックシーンにももっと拡散されるべき大大名盤だと思う。

 

オーストラリアのダークゴシックユニットダーガードの4th。夜明けの霧深い森の中を少女がひとり歩いているシーンが連想されるサウンド。オーケストレイションが寒々しいシーンを連想させ、エイリザベス嬢の寂しげな声がダークな時間を表象する。ダーク系シンフォニックサウンドの中ではレベルが高いと思う。ちなみにオールタイムベストの一枚。

 

スペインの伝説的なクラスト(のちにネオクラストと呼ばれる)Ekkaia2nd1stRAWかつ繊細な楽曲が目立っているが、2ndは荒々しく勢いでぶちまく重厚な楽曲が目立つ。やっぱりXが好きだった自分的には、破壊と美がギリギリの中で共存するような曲(XでいうとDAHILAとか)が好きなので断然2nd推し。

 

レトロックを掲げる日本のヴィジュアル系バンドMERRYの3rd。昭和歌謡曲ベースで言えばムックとかぶりますが、メリーは哀愁に向かうので聴いていると感覚が全然違う。例えば『哀しみのブルートレイン』的な曲はムックでいうと鬱期を脱した5th以降のテイストになるんだよね。『PEEP SHOW』なんかも好きなんだけど、曲数が11曲とアルバム単位で見て収まりがいいのが3rdまでじゃないかな。方向変えた『アンダーワールド』なんかも悪くないけど。一番好きな曲は『溺愛の水槽』。

 

世界的なアングラシーンを突き抜ける日本のブラック/スラッシュメタルabigailの4th。アビゲイルってアングラシーンにいながらもめちゃんこキャッチーなんだよね。アビゲイルはライヴも素晴らしいので気に入ったら現場にいくのをオススメします。

 

  • Vivisick - Fuck On The Beach / Let's Do The Kamikaze Twist!!(2005)

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vivisickもFuck on the beachも大好きだから分割盤を滑り込ませてみた。ファックオンザビーチは音楽がかっこいいのもあるし、何より面白いんだよね。それだけポップなわけだ。速いし。速いしポップでキャッチーって最強だと思うわけよね。Vivisick惜しくも解散?(だったっけ)なのですが、やっぱ速くてスラッシーで声が高くて最高じゃんね。自分は『Trash-Poach-Crashers』がめちゃんこ好き。全部好きだけどー!

 

岡崎のハードコアパンクの1st。やっぱり岡崎のハードコアパンクはTomorrowにしろ唯一無二のかっこよさがある。今は当時の女性ボーカルちっぺさんが抜けてしまって男性ボーカルオンリーなのですが、ちっぺさんのボーカルめちゃんこかっこいいんよな。(今の Acuteも大好きですが)ジャンル違うけどPUNCHあたり好きな人はこれきっと好きだと思う。

 

日本を代表するRAW GRIND Unholy Grave2006年作。Vo.小松氏はDEATHPEED80年代より活躍していたグラインド神であり、Unholy Graveでもすでに20年以上のキャリアを重ねる日本グラインド界の最重要人物といっても過言ではないだろう。グラインドフリークスやグラインドバスターズなどの自主企画を筆頭に、Obscene Extremeなど海外でも活躍するグラインドウォーリアーだ。本作は数百にも上るUnholyの音源の中でも、キャッチーかつライヴでも定番の楽曲が楽しめる。比較的手に入りやすいのでぜひ日本最強のグラインドコアを体感されたい!

 

スペイン産ネオクラストの1st。このバンドはネオクラスト出身のバンドマンたちが作ったバンドなのでどうしてもメロい音になるんですが、凶暴なギターリフとダークネスなクラストよろしくサウンドになっていてEkkaiaやmadame germenとかとはまた違うんですよね。なんだろ小細工なしでストレートにかっこいい。stは手に入りづらいと思うけど、ディスコグラフィーがこの間3LAさんに入荷していたし地道に探すかbandcampで我慢するかですかねこの辺は。

 

名古屋のグラインド/クラストハードコアの2007作。クラストのノリとグラインドの濁流に呑み込まれている感覚の共存。思わず拳を掲げて観客に突っ込みたくなるヴァイオレンスな音楽。名古屋に住んでた頃よく見ていたのだけど、なかなか東京のGIGでお見かけしないので是非とも東京でも鑑賞したいものだ。

 

北欧でブラックメタルが誕生したころから活動してきたSigh7thSighの作品の中で一番キャッチーなアルバムだろう。思わず口ずさんでしまうメロディは一見近づきがたいブラックメタルのイメージを払拭する。80年代スラッシュメタルをベースにドイツの交響曲が導入されているようで、ポップかつキャッチーな作品に仕上げられている。ジャンルの垣根を越え万人に進められる名盤。

 

神戸と名古屋の最狂VS分割盤ここにあり!!swarrrmの今の方向性があんまり好きじゃないんだが、この分割盤までのswarrrmは本当好き。というか彼らのキャリアをざらっと見ても、ここまでトチ狂ったカオティックグラインドやっているのはこの分割盤じゃないだろうか。そして迎え撃つ無我の音源もめちゃんこかっこいいんだよね。2000年代でもトップ幾つかにはいる分割盤だと思う。

 

俺の好きなパワーヴァイオレンスが詰まっている!!IN DISGUSTのちょー名盤!ゴリゴリのブチ切れ低音ボイスと高音ギャーギャータイプのダブルボーカルスタイルで叫びまくる。ノリもいいしブルータルといった言葉がめちゃんこ似合う最狂パワーヴァイオレンス!手に入りづらいのでディスコグラフィーを狙うといいと思います。toosmellあたりをよくチェックしておきましょう。

 

スパニッシュネオクラストの2007年作。アナログだと二曲に分割されてしまうけど、コンプ(3LAさんのとか)だと1曲としてまとまっている。オープニングからテンションが高いのですが、約40分間これを持続させるのだから驚きだ。ekkaiaと並んでネオクラストの重要バンドのひとつ。

 

日本の激情ハードコアHIHAの1st。日本の激情シーンはEnvyが作ったわけだが、彼らのフォロワーながらさらにダークネスな方向に振り切り、同時にとてつもない緊張感を楽曲に反映させた。ダーク思考(志向)なのでenvyより好き。『鉄線とカナリア』は悶絶するよね。ライヴの緊張感が半端ないっす。

 

フランスのダークゴシックバンドの7th。ELENDはルシファー三部作が有名だけど、バンドの最終作となったこちらもものすごいことになっている。生オーケストラも使っているんですが、ほんと男女混合ボーカルの絡み方が恐ろしいくらい溶け合っている。聴いていると気づいたら死んでいた…なんてことが起こりそうなくらいのゴシックサウンド。大名盤。

 

サンディエゴのインストゥルメンタルサイケデリックストーナーロックバンドの2nd。何年か前にエターナルイリジアムとツアーやっていましたが、ここ10年で一番よかったライヴだったかもしれない。まだ新譜聴いていないけど、アースレスはどの音源も最高にかっこいい。やっぱり音楽も反復と差異です。ギターに痺れろ!!

 

チェコのオタク・ブルータルデス/グラインドの名盤2nd。ゴボゴボゴボゴボとしたガテラルに超次元のブラストにキャッチーなリフ。来日した時はびっくりしましたが、また来て欲しいっすね。

 

東京のインスト・ポストロックの2008年作。これ初めて聴いた時は新しいな〜って唸ったなー。普通に地元のTSUTAYAで借りたんだけど、ポストロックでこんなかっこいいのあるんだーってなった。バトルスなんかは苦手だったので、ドンキャバ(は大好き)とか聴いているときに日本のバンドかーって手に取ったのがきっかけ。やっぱノイズとか入るのが好きなのかもなー。

 

Don Caballero - Loudest Shop Vac In The World - YouTube

アメリカのポスト/マス/ロックの2008年作。バトルスは乗れなかったけど、ドンキャバははまりましたね。

 

東京の世界的なオールドスクールスタイルのデスメタルバンドの3rd。例によってコフィンズも殆どの音源が好きだけど、2ndよりもビート感というかズッルズルでドカドカ進む感じが好きで3rdを。ちなみに自分が持っているやつはボートラで2ndのEvil Infectionのライヴ盤が入っていてたまらない。一緒にイーヴォーインフェクション!ってライヴで叫びましょう。

 

カナダのブレイクコアの2009年作。ブレイクコアって詳しくないんですけど、Venetianはめちゃんこハマった!メタルとかハードコア好きな人でも結構聞けるんじゃないかな。とにかくノリのいいアルバムです。

 

デンマークオールドスクールデスメタルの1st。腐ったデスメタルって感じで生臭さが伝わってくるような重金属サウンド。INCANTATIONの影響も受けながらもいい塩梅で自分の音楽やっているなーという印象。デスメタル好きにはマスト!

 

梶浦由紀プロデュース女性3人組ボーカルユニットの1st。実質『空の境界』のサントラみたいになっていますが、これは本当に上質です。僕はT4『夏の林檎』とT8『傷跡』がたまらなく好き。なんだか分裂なんだか脱退なんだかよくわかりませんが、もう聴けることないんだろうかねー。

 

英国のブラッケンド/ドゥーム/スラッジよろしくなDragged into Sunlightの1st。まさにマイナーで暗黒な音楽やっているんだけど、どこかキャッチーなのは英国の強みか? アナールナスラックも世界一やかましい音出しているけど、あそこまでキャッチーな作品にできるんだからとんでもないんだよね。また来日して欲しいバンドのひとつ。

 

  • Annal Nathrakh / In the Constellation of the Black Window2009

    www.youtube.com

英国のノイズ/ブルータル/アヴァンギャルドブラックメタル5th1stからキチガイっぷりを発揮し「世界にAnaalあり」と言わしめたバンドですが、本作よりオペラ的歌唱法を使いクリーンボイスを取り入れるなど、さらにジャンルを拡張するような表現域に達している。以後のアルバムも攻めまくっているので、あんまりこの手の音楽を聴かなくなってしまったけどこのバンドは毎回フィジカルを購入してる。世界一やかましい音楽のひとつだろう。

 

アメリカのファストコア/パワーヴァイオレンスPUNCHの1st。PUNCHは2nd、3rdも大好きだけど、1st聴いて女性ボーカルのキレっぷりにぶっ飛んだのでこちらを。解散してしまったので寂しい限りですが、とにかく速くてかっこいいのでぜひに。

 

90年代〜2000年代初頭にメタリックなハードコアだったり、メロデスがハードコアを目指したりメタル-ハードコアが互いに影響を及ぼしたわけですが、2010年代においてメタルとハードコアのつながりを決定的にした盤じゃないだろうか。ハードコアっていってもブラッケンドなクラストって感じなんだけど。

 

アメリカのウォー/ベスチャル/ブラックメタルの3rd。まだまだ勉強中のジャンルなんだけど、こちらは1曲目から暴走列車のように突き進んで心を鷲掴みにされた盤。いわゆるBLASPHEMYを中心と置くこのジャンルはまだまだ掘っていく必要があるなーと。

 

アメリカのネオクラストmasakariの1stになるのかな。ネオクラストはスペインが主流ですが、アメリカにもかっこいいネオクラストはいる。masakariは日本でいうとsekien的吐き捨て系のボーカルなので親和感が得られるかも。やっぱりスペインっぽさではないんだよなー。国には国の文化ってもんがあるもんだなー。音楽に国境はないけど、個性はあるんだこれは。

 

アリゾナ産パワーヴァイオレンスの7インチ。16年に出たアルバムはもっと整合性? というかいわゆるIRON LUNG的な知性で作られたように感じたのですが、7インチは荒々しさ初期衝動で作られている感じがしてこちらの方が好きなんですよね。HARM DOREとのスプリットの曲はそこからまた違って、今までズレで構成されていたものが同期の方向で作られてしまったのでこのバンドっぽくないなーと思った。(かっこいいんだけど)こちらは多分まだフィジカルも手に入るし、bandcampで買えるのかな? オススメです。

 

日本のブラックメタルバンドの1st。COHOLは2ndでブラックメタルバンドとして世界に名を轟かせたし、ジャンル音楽として成長したなーって感じなんだけど、私は1stのブラックメタルなんだか激情ハードコアなんだか混沌としたどっちつかずの方向が好き。それとCOHOLは日本語のギコチナサがノイズになっていいんだよね。普通ならなめらかなものを目指すから、英語でデス声(グロウル)で歌えって感じなんだろうけど、接合感を別に求めていないんだろうね。個が複数あることの肯定っていえばいいのかな。それぞれ共存していて混ざり合わないところでの緊張感といえばいいか。大好きなバンドのひとつ。

 

大阪のブルータルオーケストラの2011年作。こちらを選んだのは彼らのブルータルオーケストラな楽曲+αのキャッチーさ、つまるところの窓口の広さですかね。『The Divine Move』(2014)なんかと比べると印象がガラッと変わるんじゃないだろうか。こちらは初期の作品でシリアス方向へ向いているし、わかりやすくオーケストラってのがわかるんじゃないだろうか。彼らも音源ガンガン出すのですべては網羅できていないけど、全部買った方がいいくらいかっこいいバンドです。

 

男女混合ボーカルってのは本当にそれだけで貴重だしかっこいい!ENSLAVEの1st。音的にはメロディがネオクラストに近接しているけど、ハードコアパンクだなーって感じだろうか。とにかく速くてクールなハードコアパンクが聴きたいなら間違いなし!

 

  • Imperial Circus Dead Decadance / 狂おしく咲いた凄惨な骸は奏で、愛おしく裂いた少女は聖餐の謳を謳う。(2011

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日本の同人メタルバンドICDDの2nd。デスもブラックもヴィジュも全部混ぜちゃえ!そして退廃って言葉で覆いつくせ!って感じ。X後期的なドラマティックな疾走感を持続するんですよね。同人っていってもボーカルも演奏も抜群ですよ。ただあまりライヴする機会はないので現場で見ることは少ないなー。私も1回しか見たことがないですが、たいへん楽しい時間を過ごせました。こういう同人でもかっこいい音出しているバンドが、Vサミットとかルナフェスに出るべきなんじゃないかと思っているんだけど、まあ実現はしないだろうなー。

 

英国のプログレッシヴロックANATHEMAの9th。初期のゴシックから脱皮し、万人にも受けいられる方向に進んだのだけど、これがこんな名盤を生むとは… 男女混合ボーカルの質が尋常じゃなく高い。気づけばそのまま天国に行ってしまいそうになる。2〜3年前?に来日しましたが、生で聴くアナセマは極上でした。また来日してくれ!!

 

オーストラレのブチ切れグラインドコアthe killの2012年作。これは1stになるのかな?とにかく前だけ向いて突っ走ります!!っていうグラインドで聴いてて気持ちいいっす。2ndの『Kill Them…All』もいいアルバムでした。

 

ジャンルの垣根を超えたGIGにもガンガン出演する大阪のハードコア・PALM2nd。繰り返し言われるようにCONVERGEには強く影響を受けて言えるのかもしれないが、さらにダークネスにそしてキャッチーに消化したのがPALMであり、唯一無二のサウンドをかき鳴らしている。たとえ聴いたことがなかったとしても彼らのライヴを一度体感してしまえば、その凄まじいエネルギーに虜になってしまうだろう。

 

惜しくも解散した日本のハードコアパンクTHINK AGAINの1st。これを聴いたらハードコアパンクが病みつきになるに違いない。ほんと圧倒的にかっこいいってこのバンドのためにある言葉でしょ〜!って感じで、こんな暴力的で攻撃的で速くて歌詞を口ずさみたくなり拳をふり上げたくなる音楽なんてあるのか!? やっぱ安藤竜さんなんだな〜!

 

アメリカのファストコア/パワーヴァイオレンスの2012年作。確かこのバンドはパワーヴァイレオンスとは名乗っていなくて、ファストコアって言っているはずなんだけど、パワーヴァイオレンスの文脈で語ってしまいそうになる。ストーナー要素がたっぷりでこのタイプのファストコア/パワーヴァイオレンスはなかなかいませんな。日本だとtoosmellさんとか大阪の某所(名前忘れた)とかあたりですかね見るのは。こちらもディスコグラフィーが出ているので是非に。

 

日本のドゥーム/ストーナーロックの2012年EP。日本でこのバンドの右に出るものはいないのではないか? と思わせるくらい気持ちいい音を毎回聴かせてくれる。キャリアは長いですが全然ブレてないし、どの作品も好きですが、曲単位でT02「Map」(Flower Travellin' Bandのカバー)が好きなのでこちらを選出。ライヴで岡崎さんがカッティングでチャカチャカやるんですが、もうね、たまらないんだよね。クーッとね心臓掴まれちゃうやつ。名古屋住んでた時はよく見てたのですが、なかなか東京で見る機会がないのでこちらも久々にみたいですね。

 

来日も果たしたアメリカのダークなスラッジコアの1st。永遠に思えるほどのスローパートの反復に突如ぶん殴ってくるようなラッシュをかけてきたり、油断ならない。コラプとかヌースラッシュとかアイヘイトゴッドやらのスラッジを思い浮かべますが、その中でも人外にカテゴライズされそうな音出してます。

 

東京のパワーヴァイオレンスハードコアELMOの2ndデモ。世界見渡してもエルモほど珍しい音出しているバンドもないんじゃないか。大きなくくりとしてパワーヴァイオレンスがあるけど、そこにノイズにゴリゴリのビートダウンにハードコアてんこ盛り。あと太鼓の音がでかくて好きですね。ドカドカしてるやつ。やっぱ太鼓はドカドカしてなきゃってのがわかる音源でしょう。

 

ドイツのブルータルデスメタルの4th。テクニックなデスメタルってあんまりピンとこないんですけど、Defeated Sanityはテクニカルな部分とブルータルな部分がちょうどいい塩梅なので好き。ブルデスの名盤です。

 

COMPLETED EXPOSITION / Structrure Space Mankind2013

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大阪のパワーヴァイオレンスCOMPLETED EXPOSITION2013年リリース片面12インチ!この「片面12インチ」という贅沢な響き。パワーヴァイオレンスで12インチ両面ってのは結構長く感じてしまうんですよね。フィジカルだと裏返す必要があるので、一気に駆け抜ける感覚が残るのが12インチ片面のいいところ。7インチでスプリットだと短く感じてしまうからね。いいとこ取りなんですよね、片面12インチは。(完全なる私的見解です)ギターレスなのにギターみたいな音するし、ドラムはめちゃんこ速いしダブルボーカルだし、何から何までサイコー。大名盤。次のライヴから体制が変わるらしんですけど、どうなるんでしょうね。

 

惜しくも解散してしまった現代パワーヴァイオレンスのヒーロー的存在Weekend nachos4th。しかしナチョスがパワーヴァイオレンスか? と厳密に追求していくと少し違うような気がしないでもない。確かにナチョスはパワーヴァイオレンス的なテンポチェンジ(緊張/弛緩)もあり、ボーカルが怒ったような顔で早口でまくし立てるってスタイルは共通であるが、もっと広い定義の現代ハードコアを代表するようなバンドだと思う。というのも今は様々なジャンルをクロスオーヴァーさせるバンドが多く存在しており、ジャンルを〝超える"ってことが別にアクチュアルでもなんでもないってのが現代だと思っている。その中でナチョスはハードコアで留まりつつハードコアを少しずつ流行と相まって拡張したバンドといえるのではないだろうか。

 

ポストメタルって言った方がいいんだろうか? ただそんなカテゴライズ無用でノイズでドローンでエレクトロニカブラックメタルっぽい雰囲気あったりなんだかよくわからないけどめっちゃ名盤。一瞬の光が差す感じがたまらないのよな。

 

シアトルのパワーヴァイオレンスデュオの3rdIRON LUNGの音源はどれも最高なんだけど、特に本作はインテリジェンスな匂いがたっぷりして好きだ。来日したときにも思ったのだけど、パワーヴァイオレンスって凶暴なイメージがあるんだけど、実際見たらギターのほうはおたくっぽいというかロン毛でメガネ。でもメタルっぽい小汚さとは違う(笑)って雰囲気があったのが印象的だった。それでドラムがあんなvoやっちゃうんだもん。単純にスゲーと思ったし、アルバムも勢いだけではなく構成も緻密に考えて作られているところがたまらなく好き。

 

カナダの音響系の7th。エレクトロニカは全然詳しくないけどなぜかTim Heckerは昔から聴いている。もっとこのシーンは勉強しなければならないのだが。『Ravedeath,1972』とか『Harmony In Ultraviolet』あたりも大好きだけど、来日した時に聴いたのもあって本作は思い出深い。神々しいまでのアンビエントドローンサウンドを召し上がれ!

 

ブラッケンド/ブラック/デスメタルの2nd。再生即この音圧!!!にしびれる。この手のタイプでは最強なのでは? 暴走系だとRevengeとかも好きっすね。

 

名古屋が誇るメタリックなハードコアパンク2nd。デモリションの好きなところはリフのドライヴ感!!フックでキャッチーなリフが来るんだけど、もうね、聴いた瞬間走り出したくなるようなドライヴ感を爆発させるのよな。暴君デモリション!!!

 

アメリカのパワーヴァイオレンスのst。音的にはポピュラーな90年代パワーヴァイオレンスの継承って感じですかね。前にCONCUSSIVEと分割盤出しているんですが、CONCUSSIVEもブチ切れパワーヴァイオレンスでオススメ。

 

セルティック・フロストのトムが中心となるスイスのデス/ドゥームメタルの2nd。T1の「Tree Of Suffocating Souls」の太鼓の音がたまんない。遅いバンドの速い曲って好きなんだよね。ズッルズルの棺桶引きずっているんだけど、いきなりそれをふり上げて応戦してくるボス的な。

 

ポーランドのブラッケンドデスメタル10thベヒモスEMPEROR同様に初期(1st or 2nd)のような冷たいブラックメタルが好きなんだけど、09年の『Evangelion』からの方向性もたまらなく好き。ブラックメタルとは何ぞや? といったことに答えてくれるような大傑作。ベヒモスは見かけによらずキャッチーなのでお勧め。 

 

声優・喜多村英梨2nd1stは商業的に90年代V系とか好きっすみたいな印象でしかなかった(後半の楽曲の方がめちゃんこよかったので)のだけど、2ndで完全に化けた。『証x炎』の躍動感たっぷりなドラミングで一発KO1stは速くてギターソロピロピロ……みたいな売り出しやすいような楽曲が目立っていたけど、このドラミング本気だろうと心をつかまれたまま最後まで持って行かれた。この後の『凛麗』までは素晴らしい方向性だったのだけど、レーベル変わってからちょっと苦手で聴いていない。でも2ndは完璧!

 

愛知のグラインドコアの2015年作。グラインドコアっていうよりも、めっちゃ速いハードコアパンクって表現した方が正確かもしれない。いや確かに音だけ聴いているとグラインドなんだけど、ハードコアパンクは速くなりすぎてグラインドになってしまいましたってサウンドなんだよね。日本語の歌詞ってのもいい塩梅なんだけど、このバンドほんとポップなんだよ。アナログかけながら思わず歌いたくなっちゃう。歌えたらこんなバンドやりたいなーって感じ。名古屋に住んでた頃たまたま聴いてぶっ飛んだんだけど、なかなか東京に来るバンドでもないので地方遠征時に是非聴いて欲しいバンド。

 

大阪が誇るハードコアの1st。セコナンは90年代から(当時は知らないんだけど)活動しながら活動がとてもゆっくりしていたので1stまでに10年以上の歳月がかかっている。最近は活動的になっていて関東近郊にライヴしているので一度は彼らの暗黒武道大会的なライヴをぜひ鑑賞されることをお勧めする。サウンド的にはオールドスクールデスメタル、ドゥームなどのブラッケンドな音楽を取り込んでいるが、ギリギリのラインでジャンルに止まらずあくまでもハードコアに止まっている。垣根を超えるだけがすごいわけではない。一度でも体感すれば、そこに止まることもすごいんだということがわかるだろう。

 

東京の暗黒スラッジ/パワーヴァイオレンスの1stSu19b20年以上のキャリアがあるバンドであるが、このところ精力的に活動しており、昨年には2ndをリリースしている。(こちらも名盤) Su19bはまるで真っ暗闇で視界ゼロの中、この世のものではない猛獣に出くわした感覚といったものだろうか。想像を絶するような世界が眼下に広がっており、それに絶望していく負のエネルギーの連鎖。緊張/弛緩のパワーヴァイオレンス的な要素がその世界と溶け合っていく。世界見渡してもなかなか出会うことのない音楽です。

 

姫路シティハードコアsekienの1st。sekienは"ネオ"クラストとクラストの間で格闘しながらやってきたバンドだと思う。アルバム出して解散しちゃいましたが、sekienとかmasakariあたりの雰囲気があるっていうか、それ以上に繊細な方に触れていて、もう少しで破綻してしまう… ギリギリのラインでつないでいたバンドのように感じる。大好きでラストの京都にも足を運びましたが、Vo.ジョージさんは今はKUGURIDOでまたかっこいい音出しているのでこちらにも注目ですね。

 

東京の暗黒ハードコアの2016EP2!EP1も最高だけどEP2の方が余すことなく力を出し切っている感があるのでこちらを(EP1&EP2のセット盤もあります)。音圧で圧倒する、黒い粒子が猛烈な勢いで迫ってくる。この後出たアルバムも好きなんだけど、EPの荒削りのゴリゴリした音の方が好き。

 

埼玉のオルタナティブロックバンドの1st。普段オルタナとか全然聴かないのですが、すっごいバンド出てきたよねって思った。出てきたって言っても実際はキャリアが長いので、自分が1st聴くまで知らなかっただけなんだけど。ギターもヘヴィネスでね〜太鼓の音もガツガツとフィジカルに迫ってきてたまらない。重厚なサウンドだけど、ボーカルが高音で歌っているのでそのギャップがまた味わい深い。

 

24年ぶりのアルバムとなった2016年作。このバンド聴くようになってまだ数年しか立っていないんだけど、ちょうど80年代のパンクと90年代ヴィジュアル系っぽさ。ボーカルスタイルがヴィジュに影響を与えているなと思う。しかもめっちゃ泣けるのよな。しんみりする。死ぬ前にこのアルバム聴きたい。

 

東京の3人組フリースタイルグラインドコアの2016年の大名盤。ツインボーカルから一人になってどうなるのか? と思っていたが心配することなんぞどこにもなかった。グラインドコア? パワーヴァイオレンス? メタル? プログレ? ありとあらゆる音楽成分が凝縮され、乱立するだけでなく喧嘩し溶け合い混沌とした空間を立ち上げる!まさにフリースタイルグラインド!アナログ盤も即確保!

 

日本のパワーヴァイオレンスの2016年作。速いってもんじゃないダブルボーカルスタイルで鬼気迫る演奏。これぞパワーヴァイオレンス。方向性はCONCUSSIVEみたいなスタイルですかね。こっちの方がかっこいいと断言しとく。大阪パワーヴァイオレンス!

 

スウェディッシュクラストハードコアパンクの6th。初期はTRAGEDY的なメタルクラストハードコアっぽい音でしたが、他を寄せ付けない個性をもったバンドに成長したよね。北欧の伝統的Dビートはもちろんのこと、この美しいメロディなあ。全曲似たような感じなのにまったく飽きないのなんなの?ってね。泣けるハードコアっす。

 

アメリカの日本語ハードコアパンクRASHOMON(羅生門)の1stデモ!ザ・初期衝動!荒々しく速く、そしてノレるにもかかわらず、めちゃんこ口ずさみたくなるポップな日本語ハードコアなんだよね。GAUZEヨロシク!現代にもかっこいいバンドは世界のどこかにいるぜ!と言わしめる盤っす。2ndプレスのジャケ色違いも欲しい。

 

声優として活躍する小松未可子3rd。ひそかにポスト坂本真綾になるんじゃないかと思っていながら、1stがあまり好きではなくて2nd以降聴くのを渋っていたのだけど、2ndから格段に成長し3rdで完全に化けた。残念ながらポスト坂本真綾的な方向性ではないが、さわやかなポップス、ロックナンバーが上質。T10.Lonely Battle ModeT11.HEARTRAILの流れがサイコー。

 

三重のメタリックなクラストハードコアパンクZAY1st2016年に初めて彼らのライヴを体感したのだけど、全身に電気が走るような衝撃を受けた。ここ数年でもナンバーワンだった。それから1stDEMOを毎日のように聴きまくり、2017年満を持しての1stフル。メンバーの経歴から言ってもメタルクラストと呼ばれることが多い彼らだが、メンバーが様々なジャンルを吸収しているようで一筋縄ではいかない音楽になっている。例えばポストメタル的なフレーズ、メタルよろしくなザックザクのギターリフもある。それが絶え間なく反響しあいながらも、ハードコアパンクとしかいいようのない音楽になっている。2017年のナンバーワン。

 

 

 

ブルータルデスメタルガイドブック: 世界一激しい音楽 (世界過激音楽)

ブルータルデスメタルガイドブック: 世界一激しい音楽 (世界過激音楽)

 

 

 

パンクロック/ハードコア ディスクガイド 1975-2003

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ポストロック・ディスク・ガイド

ポストロック・ディスク・ガイド

 

 

 

 

『アニクリvol.9.5 リズと青い鳥 特集号』への寄稿について

8月12日(日)夏コミ3日目(東”ナ”35a)より頒布されます『アニクリvol.9.5 リズと青い鳥 特集号』へ寄稿させて頂いたので告知します。アニメクリティークさんへは『vol.0.6 傷物語』『vol.8.0 終わりを「旅」する少女』に続いて3回目となりました。

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nag-nay.hatenablog.com

今回の『リズと青い鳥 特集号』は寄稿者が多く、批評23本+掌編小説+詩で本文260頁(800円)と大ボリューム。『リズと青い鳥』はヒットしましたし、複数回鑑賞する方もたくさんいましたが、正直ここまで増えてるは思わなかった。ここまで多いと被る内容もあるのではないか? とも危惧しましたが、先行で読ませていただいた印象だと案外そうでもなく、ここまで語り方が違うのかと思うくらいバリエーションが多くて面白い。

私は論考と掌編小説を各一本ずつ寄稿しています。また、tacker10さんとすぱんくさんへのコメント/レヴューをさせて頂いております。

論考内容は『私たちは溶け合っている リズと青い鳥における交換可能性/交換不可能性について』といったもので、希美とみぞれがお互いの関係について童話と重ねてしまっているが、本当に重なって見えるんだっけ? といったことに着眼し書いております。掌編小説に関しては、一応本編の沿った形の体裁を取りました。

猛暑&台風接近などが懸念されますので、十分に気をつけて夏コミへ参加頂ければと思います。今回もコミックZINあたりで通販もされるらしいのでそちらもご活用ください。それと次号は『山田尚子 総特集』らしいので、『リズと青い鳥 特集号』を読んで気になった方はそちらをチェックしてみるといいと思います。

 

映画『リズと青い鳥』ED主題歌「Songbirds」

映画『リズと青い鳥』ED主題歌「Songbirds」

 

 

 

吉田喜重『秋津温泉』(1962)

戦時中、彼は死に場所を求めた。しかし、そこで彼は生きることを見出してしまった…

北千住のブルースタジオで35㎜でかかるということですかさず『秋津温泉』を見てきた。劇伴が大げさだったっけな?と思いながらも、久々に見た『秋津温泉』は格別な体験となった。

メロドラマというよりも「死」に場所を探していた長門と生き生きとした若い娘を演じる岡田茉莉子の対比構造から、それが逆転するまでの物語であり、それが果たして恋愛感情か?と問われるとそうでもないような気がした。

岡田茉莉子長門に惹かれたのは、彼女自身がそもそも秋津温泉にいたくなかったことにある。事情があってしょうがなくここにいることになったに過ぎない。それと違い、長門は最後の地を秋津温泉に見出した。今にも死んでしまいそうな彼を看病し、長門に生かす道標を与えてしまった。ここの一連の演出が冴えているのだけど、岡田茉莉子が道端で終戦のラジオ聞くときに、「何言っているかわからない」といった調子で場所を移動して学校の校庭で兵隊たちの行動、すなわち運動を見ることで終戦した、といった事実を理解させる。実際のところ音声も聞こえてくるが、岡田茉莉子が知覚するのは兵隊たちの運動であり、その運動に伴って彼女も爆走してしまう。こぼしたお米を拾いながら旅館までまっしぐら。そして、長門がいる離れまで行って外を見ながら号泣してしまう。あくまで岡田茉莉子はその場所で泣いているのであって、長門に抱きついたりっていう行動を取らないんだけど、長門は泣く岡田茉莉子のところまで行って彼女を抱く。

岡田茉莉子の虚無感漂う瞳がいい。川辺でタバコを吸いながら空を向いているようでどこも見ていないかのような彼女の瞳。長門に抱かれているのに死にたい… とどこを見つめているかわからないような瞳。初めの頃は長門の方が死にたがっていたのに、だんだんと岡田茉莉子の瞳がどこを見ているのか分からなくなっていってしまう。この岡田茉莉子を見ていると、長門が死にたいと言っていたなんて全くの冗談にも見えてこないだろうか。彼は岡田茉莉子によって生きることを知ったのだし、彼も彼女を好きなのは間違いがないが、少しずつ心残りから思い出に消化されているのではないだろうか。だから3年、4年、そして10年と彼女と出会ってから17年の年月が経っているのに、最後の訪問はとてもあっさりとしている。まるで思い出の地で、記憶の中の女を抱くように。

しかし、待つことしかできない岡田茉莉子は、年月が経つほどに17歳の頃の「生」から徐々に「死」に意識が向かっていく。しばらく会えなかった長門に抱かれてみたり、それで嬉しがったり、17歳の頃の自分を再生しようとするが、結局は死にたくなってしまう。それまでにおいて「死」に関わるイメージはあまりにも出てきていない——例えば心理的要因で温泉地といった閉じられた世界がそういった死のムードを作り出すといった指摘はあるかもしれない——のであるが、ここで直線的イメージが画面に登場する。それは長門岡田茉莉子に頼んだカミソリだ。こうなってしまえば映画の最後は見えてしまう。

断ち切る直線的イメージは彼女の人生を終わらせる。彼女は死ぬのだから、長門は彼女をなかなか見つけられない。見つけたときにはすでに息を引き取っている。そして映画は終わっていくのであるが、そこでまてよ?と。直線的イメージは何もそこが初めてではないことに気づかされる。それは秋津を流れる川。そして川にかかる橋だ。川は初めて長門が初めて来たときに、起きてから川に入っていくシーンが印象的であるし、なによりも彼が死にたいといって選んだ場所が川だった。

そして橋は、秋津と街を隔てる一本の道である。何度も登場するその橋は秋津の孤立を強めてしまうし、長門の去っていく背中を捉える。離れまでの道も直線的であり、長門を追いかけたり、彼を拒んだりするときに何度も行ったり来たり、ドタバタと彼女が走っている姿が思い出される。本作では彼女を死に至らしめる直線的イメージ——日本家屋の横にしか動かない扉や畳など——が氾濫している。それが彼/彼女に、一定の距離を与え、すれ違いの物語を持続させる。そして同時に、生きること/死ぬことを逆転構造へと導いていくのだ。

あの頃映画 「秋津温泉」 [DVD]

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