つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーション、音楽のこと

2019年 読書ベスト10

昨年読んで面白かったなーと思う本を選出しました。全然思い浮かばねーと思って本棚見てたら案外新刊だけで10冊いったのでヨシとしようと(今年読んだ2019新刊は含めていません)。ただ、本を読むのは好きだけど読書家ってほどではないので小説とか批評とかごった煮で。10冊選んでいるけど順不同でね。

セロトニン

セロトニン

 

ウエルベックウエルベックだね」と友人と会話ししたのを覚えている。ウエルベックを読むと、やはりウエルベックだよね、という安心感と共に生の実感を得ることができる。語り尽くされた言葉でいえば「自分よりもひどい状況の人を見て安心してしまう」的なことなのかもしれないけど、それはそれで醜い態度であるなと思ったりもする。それも含めて自分て生きているんだなーと実感してしまった(なんだこのリスカ的な感想)。ウエルベックは小さな世界の住人にスポットを当てながら、それでも世界と繋がってしまうということを露わにしちゃう。そんなところが好き。

  • 『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文/尾原和啓、日経BP
アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

 

小説からビジネス書へ飛ぶ…。これすごく売れた本で、わかりやすくデジタル以後の世界を説明した本。例えばAmazonとか通販が今流行っているわけで、実店舗が減るって話なんだけど、実のところ選択肢が増えているので実店舗も敢えて残す。消費者の利便性を考えて何が一番スピーディーでってことを追求する企業もあったりする。みんながスマホ持っているからAmazonだけに絞ったり、人を置かないコンビニだけをビジネスモデルにするのではないって書いていたり。これってコンビニに限らず、たとえば映画業界にもいえるよねってなる。「映画館」もあれば「Netflix」もある、という選択肢。今までのプラットフォーム戦争の先に違うあり方が今では存在しちゃう。儲け方難しいすけどね。

  • 『イメージ学の現在 ヴァールブルクから神経系イメージ学へ』東京大学出版会
イメージ学の現在: ヴァールブルクから神経系イメージ学へ

イメージ学の現在: ヴァールブルクから神経系イメージ学へ

 

そして急にジャンルが変わるのですが…。こちら論文集。その中で、石岡良治『「アニメイメージング」と身体表現——CGアニメにおける「不気味なもの」の機能』に着目。自由自在に横断的に語る石岡良治の著作の中では多分一番かたい文章というか、論文なので当たり前なのですが。3DCGにおける不気味なものを『宝石の国』や『トイストーリー』シリーズなどから検討された論考です。もう少しボリューミーなものも期待しちゃうんですが、いつかまた出てきますかね。

  • 『フレームの外へ』赤坂太輔、森話社
フレームの外へ──現代映画のメディア批判

フレームの外へ──現代映画のメディア批判

 

映画におけるフレームの外を検討した本です。いうなれば序盤は教養主義的導入で、普遍的なことを書いてらっしゃると思うのですが、のみ込みやすく書かれておりその手つきに惚れベスト入り。ロッセリーニブレッソンから導入し、グスタボ・フォンタンで締めくくるのは流石と。 それとさらっとタルベーラdisる感じもね。

アニメーションの心理学 (日本心理学会心理学叢書)

アニメーションの心理学 (日本心理学会心理学叢書)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 誠信書房
  • 発売日: 2019/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

こちらも論文集もの。アニメーションのモーション(動き)について、これだけの論文が入ったものは他にはないし、読んでおいて損はないと思います。特に5章「動きの造形論」は私的に抱えている考えにヒントを与えてくれる論考だったため、読んでよかったです。

  • 『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』フィルムアート社

Mercaの高瀬康司編なんですが、こちらは前半インタビュー集になっていて監督からアニメーターまで様々なインタビューが読めて単純に為になります。また、制作者お気に入りアニメまで載っているのでおすすめ。選んだ本の中じゃかなりキャッチーで読みやすいと思われます。

  • 『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』木澤佐登志、星海社

著者の文章力というか、読ませる能力がめちゃくちゃ高い。こんな人います、さらにこんな人います、いやいや、こんな人もいました〜とグイグイと惹きつけられる。これはいい意味ですけど、書かれている内容自体に興味がない人でも読めるんじゃないだろうか。それくらい面白いなと思いました。

オールドスクール・デスメタル・ガイドブック 中巻: ヨーロッパ編 (世界過激音楽)

オールドスクール・デスメタル・ガイドブック 中巻: ヨーロッパ編 (世界過激音楽)

  • 作者:村田 恭基
  • 出版社/メーカー: パブリブ
  • 発売日: 2019/11/10
  • メディア: 単行本
 

近年ブームのオールドスクールデスメタルに特化したディスクレビュー集。それのヨーロッパ編。私なんかがヨーロッパでパッとすぐ出てくるところは、Bolt Thrower! ってなっちゃいますかね。最近だとPestilenceがきましたね(自分は台風で見れませんでしが)。これ面白いのが、Butcher ABCの関根さんがインタビュー受けてるんですけど、テーマが「オールドスクールっていつから言い始めたっけ?」というところなんですね。確かに私なんかが中高生頃にネットでデスメタルを探しているときにデスメタルに対して「オールドスクール」という言葉はあまり見られなかったように思います。今では90年代ヴィジュアル系ですら「オールドスクール」なんて言ってしまいますし、時間の経過は怖いものですね。でもこの「オールドスクール」なデスメタルの認識って結構マチマチなんですね。だから知り合いのデスメタルファンとこの辺りをネタに酒でも飲めば楽しいんじゃないですかね。

  • 『LOCUST vol.03』ロカスト編集部 

booth.pm

デスメタルからいきなり旅行誌のふりした批評誌になります。こちらは主に文フリなどで販売されている同人誌ですね。LOCUSTは主に批評再生塾の3期メンバーが作っている批評誌。佐々木敦が好きでもなんでもないんですが、縁あってお話したこともある方が再生塾にでてらして、その頃からずっと見ていたこともあり、毎回買ってるんですが、そういった情抜きにして面白い。私は一昨年まで名古屋に住んでいたことがあり、今回の「美濃」も遠くなかったのですが、表紙になっている養老天命反転地や、山田尚子の『聲の形』の舞台である大垣くらいしか行ったことがなかったです。でも読んでると他の地にも出向いて見たかったなと思わされる。フィールドワークと批評の重要さに改めて思い知らされました。これは旅行誌としても、批評誌としても大勝利だと思うんですよね。

「ここまで脱ぎ散らすのは今回だけだぞ!」

すごい煽りですよね*1

スタイリストの佐野夏水作って感じなんですが、これ見てても思うのがアイドルってもちろん素のポテンシャルの部分も素晴らしくないとって感じですが、メイクとか衣装へのこだわりも最重要ですよね。歌やダンスももちろんだし、トークもそうなんだけど「今、私は世界一かわいい」って表情や自信をメイクや衣装でアイドル自身に思わせなければならない。そういった自信がなければ一流のアイドルにはなれないんだと感じる。水着やランジェリーも「エロ」目線はあるにしろ、顔の表情もいいし、相棒に私を託しましたって感じが上坂すみれから発せられているのが素晴らしいんですね。ちなみにAmazon限定版と通常版2冊書いました。しかしイベントは当たりませんでした…

といった感じのベストです。今年は小説強化したいなーと思ってます。どうなるかわかりませんが…

*1:最近買った白(kuro)の再発盤帯で「俺達こそドブのそこからわいて出た本物のパンクよ!」って言葉が綴られていたのですが、煽り文句として引けをとらない(白kuroファンの方すみません)