夏がやってきました。ということで、夏コミ関連の告知です。
いつもお世話になっている、アニメクリティーク刊行会(anime critique)の新刊に拙稿を2件掲載頂いています。 8月11日(日)31bでの発刊とのことです。
◆『アニクリvol.3.5 特集 アニメにおける音楽』
本号では〈アニメにおける音楽〉が主題になっており、今回はコラム枠で寄稿しました。『アニメーション作品における音楽の多様な表現方法について』というもので、タイトル通りになりますが、アニメーションにおける音楽の使用事例を数作品の具体例をあげて紹介するといったコラムです。
短編アニメーションが中心となっていますが、ネット環境化でも比較的見ることが容易な作品を選んだつもりです。扱った主な作品は以下の通り。
- 『シンクロミー(Synchromy)』(1971)
- 『An Optical Poem』(1938)
- 『WONDER』(2014)
- 『メロディ(Adventures in Music:Melody)』
- 『骸骨の踊り』(1929)
- 『夜明け告げるルーのうた』(2017)
- 『魔王』(2015)
- 『リズと青い鳥』(2018)
- 『響け!ユーフォニアム2』(2016)
◆『アニクリvol.7s 特集 アニメにおけるバグの表象〈作画崩壊/幽霊の住処〉』
本号へは『〈アニメ〉における「バグ」の表象について』といった論考を寄稿しております。まず、映像作品におけるバグとはなんだったのか、ということをJホラーにおける「幽霊」を「バグ」に見立て、ではアニメ(脚注:本論では作品そのものを〈アニメ〉とし、動きそのものの現象などを〈アニメーション〉と記しています。)におけるバグとは? ということを具体的な作品を例に展開しました。今回は編集段階でNag.さん他にもunuboredaさんにアドバイスをして頂いたりと、至れり尽くせりでしたので、初稿よりもよくなったと思います。
もともとは都市空間と「バグ(=幽霊)」なるものを書こうと思ったのですが、実力不足で纏めきれず範囲を絞って書きました。ただ「都市空間」なるものは『天気の子』
でもそうでしたが、アニメにおいても重要なことだと思っていて、いつか言語化できればと思っています。また、クレイアニメーションとCGアニメーションの差異等今後の課題もあり頑張っていきたいなと。
以下、文章で触れた主な作品です。
- 『女優霊』(1996)
- 『リング』(1998)
- 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』(2012〜)*シリーズ
- 『serial experiments lain』(1998)
- 『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』(2000)
- 『シン・ゴジラ』(2016)
- 『青鬼 THE ANIMATION』(2017)
- 『血を吸う粘土』(2017)
なかなか触れるのも辛いのではありますが、先日の事件で「表現する」といったことについて不安になった人がいると思います。それは表現者だけではなく、私のようなアニメファンもそうでしょう。実際に私もそうでした。いつまでも元気がないのもどうかと思い、無理矢理自分を焚き付けて『天気の子』を見に行きましたが、エンドクレジットを見ると事件を思い出してどうしても辛いものがあった。
本来であればアニクリに例の事件のコメントをするべきだったのですが、ひとりの鑑賞者とした立場で人様に対して何が言えるのかと思った際に何も書けないなとなってしまいました。だから今回とても「個人的」なこととして簡単に触れます。 あれからテレビアニメをまだ見ることから逃げてしまっているのですが、それでも自分が好きなものを直視できないといったことにはしたくないし、今までと変わらずアニメを受け入れていきたい。「好きでいることは何よりも強いこと」だと、少しずつでもリハビリしていければいいと思っています。また、3.5号の売上は京都アニメーションに寄付されるそうです。機会があればぜひに手にとって貰えると幸いです。たくさんの面白い論考が載っているので。
最後になりますが、夏コミはとても暑いと思いますので十分な水分補給して体調に気をつけて楽しまれてください。では、良きお盆休みを。