つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーションのこと

三宅唱『ワイルドツアー』

スマホの画面からデジタルヴィデオカメラの画面、そしてPCモニター(編集)と移り変わるフォーマットの差異を見て『無言日記』や『THE COCKPIT』、そして短編映画など彼のフィルモグラフィーが透けて見えるようだった。いまどきのスマホ(インスタ、ティックトック)の映像とも絡んできそうであるが、この辺りは頭のいい研究者がやればいいので触れない。

不意打ちのように正面切り返しを挿入してくるあたり、映画好きな人が「作りました」って感じはある。でも、あの場面がいちばん心が通っていないように見えるのも偶然じゃないだろう(事実2人の間にはショットとショットの切断面がある)。中学三年生の男の子2人が、大学生のお姉さんを好きになってしまって、友達同士でわからない程度に牽制するシーンの方がよっぽど血が通っているように見える。映画後の登壇で告白シーンについて、これまで自分が撮った中でいちばんいいカットと話していたが、ちょっと信じがたいというか、どこまで本音で話しているんだろうと思った。彼女が飲み物買いに行くね、といって彼の手をちょっと触れて彼がその触れたところを触って思いつめる。生っぽく見えるかもしれないけど、よっぽど計算された結果には違いない。じゃなければ『Playback』なんて撮れないし、『THE COCKPIT』なんて存在していない。

とはいえ役者さんはみんなハッピーな雰囲気だったし、実際に中学生が大学生を好きになっちゃう感じとても「わかる!それそれ〜!」と興奮したのでよかったとします。