つぶやきの延長線上 second season

映画、アニメーション、音楽のこと

2018年 新作映画ベスト10

毎年恒例の新作映画ベスト。以下ベストと雑感を。 

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  1. リズと青い鳥
  2. ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション
  3. きみの鳥はうたえる
  4. パディントン2
  5. それから
  6. 大人のためのグリム童話 手をなくした少女
  7. ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
  8. 霊的ボリシェヴィキ
  9. 苦い銭
  10.  ペンギン・ハイウェイ 

2018年を振り返ってみて、いわゆるディズニーとかジブリっていう一般的にポピュラーな作品よりも、マイナーよりのアニメーション映画が元気だったと感じる。しかしそれは土台として2016年にヒットしたアニメーション映画(『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』)の存在があり、長編アニメーション市場が攪拌されてポテンシャルの高い作品が出てきたと感じる。そのひとつに山田尚子の存在がある。

2011年には彼女の代表作となる『けいおん!』の劇場版、2014年には『たまこまーけっと』の劇場版アニメ『たまこラブストーリー』の公開。彼女には定期的に監督作を発表するチャンスがあった(もちろん実力も)。最大のチャンスを迎えたのが2016年の『聲の形』だろう。それ以前はサブカルよりの監督なのかな? とか思っていたのだけど、『聲の形』のアニメーションとしての表現力には平伏せた。映像から拡散されてくるイメージ量(曖昧な表現だが具体的に言えないので勘弁を)の豊富さに考えを改めることになった。それは恐らく牛尾憲輔が担当した音楽にも大いに関係することだろう。

そして言語化が困難なイメージを凝縮したのが、今年のリズと青い鳥だったのだろうと思う。これはまた牛尾憲輔が音楽を担当している。物語を追っても単純な映画ではないし、形式を見ても90分間緊張し続けた素晴らしいアニメーションだ。『リズと青い鳥』に関しては他所で散々語っているから割愛するとして、同じくポテンシャルを持ったアニメーション映画として『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションの存在を忘れてはならないだろう。2017年の『エウレカセブンハイエボリューション1』から大胆な編集で「総集編」ではなく(もちろん総集編が悪いとはいっていない)、「編集」映画にしていたのが心を打った。『ハイエボ1』は記憶喪失者(レントン)がナレーションする中、テレビアニメの素材を切断/再接続を重ねることでもうひとつの物語を語った野心的な作品だったが、『ANEMONE』はさらに物語を完全に真新しく変えてしまった。まさに「アネモネセブン」であり、来年の続編にさらなる期待を寄せられるだろう。また、短編アニメーションのような質感の長編アニメーション大人のためのグリム童話 手をなくした少女も、2018年に日本を取りまくアニメーションの波に乗っていてよかったんではないだろうか。

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ペンギン・ハイウェイを見てインプットを整理する能力(編集と接続)に自分自身見習う必要があると反省。それとこの文脈ではないが、『若おかみは小学生!』もよかった。横たわる/直立する、ということと若おかみの成長物語を重ねて設計している点がいい。久しぶりに水樹奈々もハマり役だったしね。『犬ヶ島』、『ぼくの名前はズッキーニ』もポテンシャルを持った人形アニメーションだったが、私的にはあまりピンとくるものではなかった。『ドラゴンボール超 ブロリー』は確かにアクションはすごいのだけど、全体の流れとしての構成があまり好みではなかった。それとブロリーがなかなか旧版の最強モードに(デザイン的に)ならなかったのがあまりテンションがあがらなかった。『魔法少女リリカルなのは Detonation』は勝手に『vivid strike』とのクロスオーヴァーを感じて涙。

短編アニメーションだと水江未来の古典で新作『DREAMLAND』を見ることができた。現在「西遊記」を土台とした長編アニメーションを制作中とのことで、今後に期待したい作家だ。それと自分がまだ十分に理解していないが、新千歳アニメーション国際映画祭で短編部門グランプリのReka Bucsi『Slolar Walk』もイマジネーション掻き立てられる作品だったことは間違いない。

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アニメと続いて実写映画はどうだったかというと、世間的に言えばザ・濱口竜介・イヤーだったのではないだろうか。私はチェーホフの劇的なシーンを排除すれば、言葉から離れた映画が作れたと思ったのであまり関心はしてないのだけど、前作『ハッピーアワー』は好きだし、キャラクター造形はピカイチだったと思う。でも彼よりも、三宅唱を私は推したい。『やくたたず』での役者のたたずまいを見てペドロ・コスタを瞬間的に感じてから、彼の作品はできるだけ見るようにしているのだけど、きみの鳥はうたえるはこれまたすごい映画だった。濱口竜介ユリイカで『夜の人々』に触れているが、確かにこの映画は「夜」の映画であり、函館のロケーションは最高であるし、クラブシーンの無駄時間(肯定的な意味での)は極上。それとラストの石橋静河の顔。あの顔をみて今年のベスト俳優だと確信。

パディントン2擬似家族モノであるが、オープニングの橋から飛び降りてパディントンを救う回想から涙が止まらない。ウェスアンダーソンよろしく! 的なシーンも目白押しだったけど、巧く機能していてたいへん好みでした。

それとフィルメックスを含めれば今年(日本に限る)6本の新作が見れたホンサンス(私は4本しか見れませんでした)から『それから』。正しい日 間違えた日』もよかった。ドキュメンタリーからフレデリック・ワイズマン『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』ワン・ビン苦い銭を選出。『ジャクソンハイツ』は「死にたい」っていっているおばあさんに長生きの秘訣を聞くとか、「お金払って若い子を呼んで話せばいいのよ!」とかアドバイスを繰り出しているおばあさんたちにひれ伏した。この世の地獄だ。『苦い銭』は相変わらず面白人間発見器というか、ハサミ持ってウロウロしている人や夜中ずっと夫婦喧嘩している人を撮っていたり、作為も感じたがそれ含め楽しめた。ドキュメンタリーではないけど、質感的にはキャスリン・ピグローの『デトロイト』の前半。暴動が起きて周辺の店を襲撃して自転車パクるところはワイズマンみたいだ!と思うなどした。

ホラー枠はなんといっても高橋洋の新作霊的ボリシェヴィキ。心霊ビデオファン的にものすごくたまらなかった。シチュエーションを整えればどうにでも「恐怖」は生まれる。「怖い話をしていたら寄ってくる」の典型作。ときより恐ろしいショットを挿入するが、雰囲気作りの映画だったな〜と思う。儀式映画だしね。

映画祭関係だとブリランテ・メンドーサ『アルファ、殺しの権利』がよかったな。

実写、アニメーションどちらもよかったのだが、その一方で残念だったのが心霊ビデオ作品。ここ数年なかなか面白い作品が多かったのだが、今年は少し元気がなかった。『心霊玉手匣constellation』は白石的シリーズのクロスオーヴァーでなんとなく結びつけて完結しましたっていう、保守的な結末を迎えてしまったのが残念だった。昨年持ち直した『闇動画』も鳴かず飛ばず、『心霊パンデミック』や『呪われた心霊動画XXX』あたりは比較的安定しているが飛び抜けた作品は出てこなかった。

その不作の中でも『心霊盂蘭盆』シリーズは面白かったし、その中でも4作目は今年心霊いちばんの作品だった。それと『境界カメラ』は心霊ドキュメンタリーを制作する視点を霊障とともに追っていくといった作品でこちらもよかったかな。来年こそは揺さぶられるような作品に出会いたい。

 

最後に2018年に鑑賞した旧作ベストで〆で。*1

  1. 星を持つ男(ジャック・ターナー、1950)
  2. ゆがんだ月(松尾昭典,1959)
  3. 血槍富士(内田吐夢、1955)
  4. 廃墟の群盗ウィリアム・A・ウェルマン、1948)
  5. リバー・オブ・グラス(ケリー・ライヒャルト、1994)
  6. バシュフル盆地のブロンド美女(プレストン・スタージェス、1949)
  7. パリ横断(クロード・オータン=ララ、1956)
  8. 少女暴行事件 赤い靴(上垣保朗、1983)
  9. 必死の逃避行(アンソニー・マン、1947)
  10. 恐怖の報酬 オリジナル完全版(ウィリアム・フリードキン、1977)

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*1:'18.1.3『パリ横断』を失念し再編成。『天国はまだ遠い』(濱口竜介)が次点へ。